えりいつ だいすき東海村 クローバー通信
恵利いつの村議会報告
平成26年12月議会質問内容
- 11月18、19の2日間、東京の立派なホテルを会場に開かれた第9回全国原子力発電所立地議会サミットに出席してきました。テーマは「エネルギー政策と原子力発電~フクシマ復興の諸課題と立地自治体の振興~」というものです。私は全国の原発立地自治体の議員の方々と意見交換ができることに期待して臨みました。分科会では、福島の現実をしっかりと見た上でのお考えなのかと思えるご意見も中にはあり、各地域にとって深刻な問題であることを改めて感じ取ってきました。
1問目の質問は、「原子力事故、政府が責任を持つ」という宮沢経済産業大臣の発言に対する山田村長のご見解を伺います。
福島第一原発事故から3年9カ月が経過したことになりますが、いまだに12万人を超える方々が故郷を離れ、不自由な避難生活を強いられています。先日、南相馬から水戸に避難されているご夫婦にお会いする機会がありました。原発事故のことはもちろん、今の生活が大変なことを人様に話すにも抵抗があり、胸が苦しくなると打ち明けられました。報道には出ないというより、苦し過ぎて安易に口にできない身近な出来事などを少しだけ伺うことが出来ました。
1回目の質問は2点あります。
1点は、福島第一原発の状況、避難者への対応などを見て現状をどのように認識しているか伺います。
2点目は、11月初めの宮沢経済産業大臣の「川内原発の再稼働や万が一の事故についても、国が責任を持つ」という発言についてです。国の責任については午前中の川崎議員、越智議員も触れられましたが、私も同様に考えます。
福島の事故の検証も不十分、総括もできていない状況における再稼働への動きの中で、国が責任を持つとはどのようなことを言っているのか、安倍首相が何を根拠に言われているかわかりませんが、世界一安全な日本の原発という認識、一方、規制委員の田中委員長は「基準に合格したと言っているだけで、安全とは申していません」という発言もあります。このような中、「国が責任を持つと」は何かを私は具体的に知りたいです。
立地自治体の首長には既に具体的内容について示されているのかもしれませんが、もし示されているのであれば、その内容も含め、山田村長のお考えになる国が責任を持つことの具体的な中身についてお考えをお聞かせください。
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- 村長
お答えします。
福島の被災地につきましては、私も今年2月に現地を訪れておりまして、その後もう1年近くたちますので憂慮しております。そういう中で新しい知事さんも誕生して原子力災害に遭われた避難されている地域の方々、それとあと津波被災を受けた地域の方々、それぞれもう復興に全力を尽くしたいというふうな決意を固めていますので、地元がそういう強い意向であると。そこに対して、やはり国の動きが遅いというのは正直なところです。もっとやっぱり国としては全面的に復興に全力を尽くしてもらいたいという思いです。
宮沢経済産業大臣の発言については、国が責任を持つということの具体的な中身については、別に自治体のほうに何ら示されているものはありません。私も報道で知っただけですので、その真意はわかりませんが、あの言葉だけとれば、国がエネルギー政策並びに原子力の安全規制について今やっていること、さらに万が一のときに責任を持つというところまでしか言っていませんので、その具体的な中身についてまでは、私はちょっと今の時点で推しはかることはできません。
以上です。
- やはり中身がないのかなと今の時点で思います。
再質問ですが、被災者の生活再建一つをとっても、今現在、国が責任を果たしているとはとても思えません。ましてや、最も責任のある電力会社がその責任を果たせるものでないことは福島を見ると明らかです。事業者による賠償や事故対策の費用は、結局は我々の納めた税金、電気料金があてがわれているだけで、被害者であるはずの国民が事故を起こした側、加害者に支払っているという全く理不尽な構図になっています。福島第一の事故後、誰が責任をとったのでしょうか。このようなことからも、「国が責任をとる」ということは言葉だけで、何の担保もないのではないかと思います。私は全国原子力発電所立地議会サミットでも同じようなことを話してきました。
再質問は、1点は再稼働へ向け準備を進めていると思われる日本原電の今の状況をどのように捉えられているか伺います。
2点目は、東海第二原発再稼働是非の問題の決着が必要になってきた際、これまで議論されてきて多くの未解決懸案事項があることを念頭に、立地自治体の首長としてどんなことを国に求めるお考えか伺います。
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- 村長
お答えいたします。
今の状況をどう見ているかということでございますけれども、まだ新規制基準に基づく適合性審査の申請を出した後の審査状況もなかなか進んでいないようでありますので、今時点で何ら判断するものはないというふうに考えています。
もう1点の東二の問題についての国に対する働きかけですけれども、前にも申し上げましたが、適合性審査とは別に、やはり国として原子力をどうこの先取り扱っていくのかと。エネルギー基本計画では重要なベースロード電源と位置づけましたので、じゃどれだけ原子力を使うのかというエネルギーミックスのところが出てないというところで、そこの方針を明らかにしてほしいと。全体的な原子力政策の方向性を明らかにしていただいて、さらに、じゃどの原子力を動かすのかということも明確にしていきたいという思いです。
- 今、原電のほうでは東海第二は37年経過した原子炉に対し、報道によると780億ぐらいの安全対策をとっていこうという動きがあるように思いますけれども、何らかの安全対策はとらなければいけないと思うんですけれども、それが再稼働へ向けての安全対策と、廃炉を目指す、もうここまで高経年化したから、もう40年ルールでいくと数年、二、三年というところで廃炉を目指すための廃炉のための安全対策というので費用は違ってくると思いますので、そのあたりも、どちらがいいかというと、私の考えでは高経年化したものは廃炉に向けての安全対策というほうが、より経済的ではないかと私自身は考えます。
再々質問ですけれども、東海第二の30キロ圏内には96万人という人口過密の状況にあります。福島第一の過酷事故を経験してからは、事故は起きるという前提で考え、避難計画は実効性のあるものにしなければなりません。
本来、避難とは、災害が去った後にはもとの場所に戻る。つまり帰還と一体であるべきですが、福島を見ると戻れない地域がかなりあります。戻れないとしたら、その後の生活の保障を国にしっかりとしてもらわなければならないと誰もが考えると思います。住民の中には電力会社のお金もうけのために、なぜ住民が避難を強いられること、そのこと自体が理不尽と言われる方もいます。原発施設の安全確保は原電の責任において行うことですが、万が一の事故のとき、行政のすべきことは村民を安全に避難させることが最も大きい使命と考えます。
質問の1点目は、行政のトップとして山田村長は村民の安全な避難ができるとお考えか。そして、それらに関する課題を全てクリアできるとお考えなのか伺います。
2点目です。もはや原発は高いということを電力会社自身が認めるようになってきている昨今、住民の犠牲、これは再稼働することによるストレスとか、万が一のときの避難ということですけれども、その住民の犠牲を前提とした東海第二原発の運転再開という考え方にどれだけの合理的な根拠があるのでしょうか。原発のコストは高い、最大の地球環境破壊につながりかねないということで、欧米では原発から撤退し、地球環境に優しい再生可能エネルギーに転換しつつある中、そのような趨勢の中、山田村長は原発の運転再稼働問題についてどのようにお考えか、お聞かせください。
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- 村長
お答えします。
まず1点目、避難についてですが、今、村でも広域避難計画の策定を進めております。これは県の広域避難計画を受けての避難計画でして、基本的には避難計画の本当の基本形ということで、これをつくったからといって住民の避難が万全だとは思っていません。ですから、この避難計画は一応基本としてつくりますが、さらに細かい、いろいろなことを想定したマニュアル的なものをつくらなければならないと。それもつくっただけではなくて、訓練等々をして、やっぱり実効性を高めていかなければならないと。100%のものができるかと言われれば、それはできますと今なかなかそこまで言えませんが、そうなるように、できるだけ皆さんのいろいろなご意見を踏まえながらも、実効性あるものをつくっていきたいという思いは今も変わりません。
もう1点の原発政策そのものについてですか、前にも私はこの議会でも答弁しておりますが、これだけ今、原子力発電所ができてしまって、これを全て今すぐゼロにするというのは、私は現実的ではないと思っています。確かに今時点では電力は間に合っていますが、老朽化した火力発電所なんかも使っていますので、そういうことを考えると安定的な電気の供給がこれから先も維持できるかどうかはわかりません。
そういう中で、必要最小限の原子力を使うことを私は否定はしていませんが、ただいろいろなそういうふうな発電所の置かれている状況が違いますので、そこは個別に判断していく必要があるというふうに思っていますので、全体の原子力政策とあと個別の地域ごとの課題というのは分けて考えていきたいというふうに思っています。
以上です。
- 次の質問に移る前に、少し感想を述べさせていただきます。
私も、避難計画は東海第二原発が廃炉もしくは再稼働どちらにしてもつくらなければならないと思います。そこは東海村にはほかの事情もありますので、そのあたりについてはしっかりと取り組んでいっていただき、実効性のある訓練を重ね、少しでも100%に近づけていただく努力はしっかりやっていただきたいと思います。
我々議員の役割は、地元住民の本音、本心のところを、その考えを把握し、それに私たち議員の考えを加えて行政に伝え、その実現を要望することと思っていますが、この原発問題に関しては、再稼働を心から手放しに喜ぶ住民はほとんどいないのではないかと思います。ただ、誰もが心配するのは地元経済への影響、原電や関連会社の存続ではないでしょうか。
ある原電の方から、若い人がやめていくという現実を伺いました。今の状況ですと、本当に原発にお勤めの方、ご家族の方も不安に思っていらっしゃると思います。これまで日本の原子力発電のパイオニアとしてやってきた誇りも、本当にその誇りを持ってやってきた方々が今不安な状況に立たされていることを考えると、国への訴え、次の活路をどうしていくかというところの後押しを行政も一緒になって、前村長のときにも申し上げたんですけれども、日本原電の状況を考えたときに、そういう企業の存続、それはおせっかいかもしれませんけれども、そのあたりもしっかりと行政として、また議員としても、国にどう訴えていくかというところで一緒にやっていけたらと思います。
新しい村づくりをすべく、いつか迎える廃炉時代に備え、今から着実、早急に準備すべきと考えます。よろしくお願いいたします。
2問目の質問に移ります。
在宅介護の支援、特に介護をしている人へのサポート体制の充実について質問します。
資料をまとめていただき、ありがとうございます。村内の介護認定者数と利用状況について、東海村における特徴的な傾向があれば説明してください。また、課題として捉えていること、取り組もうとしていることなどお聞かせください。
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福祉部長
お答えいたします。
この10月末現在、本村の人口は3万8,506人でございまして、65歳以上の方、介護保険の第1号被保険者でございますが、8,696人となっており、高齢化率は22.6%となっております。介護保険の認定者数は1,180人となっており、ほとんどが65歳以上の方でございます。認定率は13.2%となっております。認定者のうちサービスを利用される方は1,011人でございまして、利用状況は在宅介護サービスを利用される方が718人、地域密着型サービス、認知症対応型グループホームでございますが、利用される方が37人、施設介護サービスを利用される方が256人となっております。
本村の認定率でございますが、県内では認定率の低いほうから10番目程度でございます。また、本村のサービス利用の特徴といたしまして、給付の総額に対して在宅サービスの利用割合が多いというような傾向が見られます。
以上でございます。
- これからますます高齢者が増加することとなりますが、施設や職員は不足している状況にあり、在宅での介護は今後ますます増加すると考えられます。在宅介護を行う上で、介護を行う側の負担は肉体的負担のみならず、精神的負担がとても大きいです。在宅で介護している人へのサポート体制の充実は焦眉の急と考えますが、村には現在どのような支援があるのか、また新たな取り組みを考えているのかをお伺いします。
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- 福祉部長
お答えいたします。
在宅介護者の精神的負担に対する支援は、在宅介護を継続する上で重要な課題であると認識をしております。現在、地域包括支援センターにおいて介護をされている方や介護している方の相談を受ける介護相談員派遣事業を実施しております。今までは介護保険施設に対し相談員を派遣しておりましたが、この11月から介護保険施設だけではなく、在宅への訪問活動を開始したところでございます。
また、東海村社会福祉協議会に事務局を置いている東海村在宅介護者の会がございます。これは介護者がお互いに介護に対する悩みや意見交換を行う食事会や勉強会などを開催しているものでございますが、この活動に対して支援しているところでございます。
今後の取り組みにつきましては、今までの取り組みを継続するとともに、現在策定中である第6期高齢者福祉計画介護保険事業計画においても、家族介護者ケア推進事業として介護者の精神的負担の軽減を図るための体制を充実してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
- 私も先日、在宅で介護をされた方のお話を伺う機会がありました。その方は介護疲れで追い詰められて、もう死んだほうが楽だと思ったこともありますと打ち明けられました。そういう中、今回の介護相談員派遣事業を施設だけでなく、在宅への訪問活動を開始したところというのは、とてもいい取り組みかなと思います。その方もおっしゃったのは、やはりお話しできる相手がいて、それで乗り切れたということでした。
そのお話の中で感じたことを二、三申し上げます。その在宅介護の会の集いですけれども、そういうこともありますよと私のほうもご提案したんですけれども、大勢の中で家庭の内情は話しにくい、よほどなれてくればできるのかもしれないんですけれども、そういう集いの中で、うちは実はという話はなかなかしにくいということをおっしゃっていました。そういうときに、その方の場合にはケアマネさんなどが心の支えとなり、乗り切れたというお話です。ですから、先ほどの介護相談員さんの派遣というのは今後大きな救いにつながるのかなと思います。
そういう介護で精神的に疲れられる方たちというのは、家族にも理解してもらえない。家族から責めを見ているんだろうとか、それから世間からも在宅介護の方がちょっと外に出られたりしたときに、やはり世間の目も気になるとか、そういうことで本当につらい立場というものを話してくださいました。
今幾つかの在宅介護をしている人の政策、そういう方へのサポート政策あると思うんですけれども、そういう方が本当に必要としていることをくみ取るために何かアンケートとか聞き取り調査のようなものをされているのかどうか。もしされていないのであれば、そういう現在のサポート体制が在宅で介護されている方の要望とずれていないかの確認のためにも、そういうことに取り組むことも一つかと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
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- 福祉部長
お答えいたします。
第6期高齢者福祉計画介護保険事業計画策定に当たりましては、昨年度、日常生活圏域ニーズ調査、これは全国統一で行うものでございますが、それに合わせまして村独自の高齢者状況調査、こちらのほうを実施しております。その中で介護を行っている家族に対し、在宅介護を行うに当たって困っていること、そういうことについてのそういう項目を設けて、そういうふうな調査を実施しております。それに基づきまして、その計画のほうにも、そういう内容を盛り込んだような施策を行っていきたいと、そういうふうなところでございます。
以上でございます。
- さすが東海村の福祉、充実しているなと思います。ぜひこれから増えてくるであろう在宅介護、そこへの支援をしっかりやっていただきたいと思います。
先ほどの越智議員への答弁で在宅介護給付の見直しがされる、そしてまた大名議員の質問にも予定されていますけれども、その給付の見直しということが改善につながるものであってほしいと思い、今後も注目していきます。よろしくお願いいたします。
3問目の質問に移ります。
いじめ・不登校問題、そして政治的マイノリティー問題についての質問です。
これまでにも、いじめや不登校に関する質問は取り上げられてきていますが、この問題は要因の複雑さに胸が痛くなることがあります。
最近ある保護者から、小学校の不登校児が増える傾向にあるようですとお話を伺いました。加えて、11月半ばの朝日新聞のセクシャルマイノリティーに関する記事が今回への質問への大きな問題提起となりました。東海村には、たんぽぽ教室が図書館の一角にありますが、建設のときにはこの議会において何度か質問させていただきました。今は不登校になった子供たちの一時的な居場所、避難場所としてとても充実した体制になっているようです。以前に不登校ぎみになった数人の子供たちとご縁があった者として、また議員として、村の教育支援体制に感謝しますとともに、これからも常に子供たちに寄り添った姿勢で臨んでいただきたいと思っています。
それでは、質問です。
まず資料をまとめていただき、ありがとうございます。1点目の質問は、11月はいじめ調査強化月間ということですが、今回は通常のアンケート調査に加えて不登校調査も行ったと聞いています。その結果について、どのように分析し、今後の対策をどのように考えているのか伺います。
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- 教育長
それでは、お答えいたします。
まず11月に行われましたいじめ調査の結果ですが、「いじめられたことがある」と回答した児童生徒は、資料にもありますように小学校では25年度、26年度の同月比ですけれども、170件から90件まで減少ということで、中学校では13件から13件とほぼ同数ということで、これは道徳の時間や特に学級会というのがあるんですけれども、学級の諸問題について話し合う活動の時間ですけれども、その場面で子供たちに本当に主体的に考える場を積極的に取り入れたというのが大きな成果だと思います。もう一つは、やはりいじめは人として絶対許されない行為であるという、そういうふうな意識の醸成を深めていったところにあるかと考えています。
ただ、いじめはいつでも、どこでも起こり得るということですので、定期的な調査を実施するとともに、日常的に一番大事な子供たちと丁寧にかかわり合い、早期発見・早期対応に努めていきたいなと考えています、今後とも。
次に、不登校児童生徒についてですが、議員ご指摘のとおり小学校が若干増えております。これは教育委員会としても学校としても喫緊の課題として認識しております。特に小学校において調査していくと、おなかが痛いとか体調不良だとかという理由で定期的に休む子供たちがいます。例えば毎週水曜日になると休むような子供たちも結構いますので、そういうふうな子供たちが中学校に進学後、ちょっとした友達とのきっかけで不登校になるケースがありますので、小学校段階での丁寧な粘り強い、本人、そして家庭とのかかわりをしていきたいなと考えています。一番大事なのは、いつも議会で答弁していますけれども、子供たち一人ひとりの居場所のある学級づくりをしっかりやっていきたいなと考えています。
以上です。
- いじめや不登校の原因は子供たちそれぞれに違っていると思いますけれども、今、教育長さんもおっしゃったように寄り添える、居場所のある教育ということをお願いいたします。
その不登校になる一つに、セクシャルマイノリティーという複雑な問題が一定の割合であるのではないかと思いました。先日の朝日新聞によると、日本におけるセクシャルマイノリティー、性的マイノリティーは約5%、これは国内成人約7万人を対象とした調査によるものらしいです。ということで、5%ぐらいいるということですね。世界的にも国や人種に関係なく人口の5%程度いるとされています。
思春期を迎える中学生を例にとると、東海の場合、東海中、東海南中どちらもおよそ1学年200人とした場合の5%ということは、1学年に対し10人前後の生徒がいる。いわゆる普通マジョリティーには当てはまらず、家族や友人にも打ち明けられないという状況が隠れているのかなと思います。その7割がいじめの被害を経験したとの調査もあるようです。そして、彼らは自分自身に対しても否定的な感情を持ってしまう。苦しんでいる人の中には自殺まで考えたり、そういうことに及ぶこともあるようです。特に危険なのが思春期と言われています。
昨夜のNHK「クローズアップ現代」では、セクシャルマイノリティーの中の一つである性同一性障害を取り上げていました。少数派性指向の頭文字を取ってLGBTと表現されることがありますが、このLGは同性愛者、LとGですね。それから、Bはバイセクシャルで両性愛、Tは心と体が一致しないというトランスジェンダーのTです。と表現されることもありますが、性のあり方はさまざまで、LGBT4つの概念でもくくれない複雑な実態があるようです。番組の中でも言われていましたが、まずは先生方の意識改革が必要と考えます。教育長の考え、教育現場での取り組みについて伺います。
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- 教育長
お答えいたします。
セクシャルマイノリティー、日本語で言えば性的少数派と解釈したほうがいいのか、そのセクシャルマイノリティーの問題ですが、私もきのうのNHK「クローズアップ現代」で性同一性障害の子供、学校はどう対応するかという内容について報道がありましたので、見させていただきました。性同一性障害と診断される子供が全国に606名いるというデータが示されたわけですけれども、相談できずに診断されない子供を含めれば、心の性で悩んでいるほうですよね、これはね。心の性で悩んでいる子供は2倍以上、それ以上かもわかりません。そういうふうに想定されます。
本村では現在、具体的に相談を受けている、対応しているという事例はございませんが、議員おっしゃるように誰にも打ち明けられずに悩んでいる子供がいることは十分に考えられると思います。
きのうの放送にもよりますと、性同一性障害と診断された子供の60%は不登校とか自殺を考えたというデータがありますので、そこら辺を踏まえて教育委員会といたしましては、まず第一に、私自身もよく理解しておりませんので、私自身も含めて子供と向き合う教育関係者の認識を高めていきたいなと考えています。
ちょっと話が長くなって申しわけないんですけれども、1つは性的な事柄というかセクシャリティーについて、やっぱりどのように認識しているか理解をしていきたいなと思います。1つは生物学的な性、要するに生まれつき体の性という形があると思います。2つ目は心の性ということで、やっぱり生物学的には女性なんですけれども、男らしく生きたいとか、そういうふうならしさがある、そういうふうな性、ここが問題だと思うんです。あと3つ目は社会的な性ということで、従来、要するに俗に男社会とか女性社会とか言いますね。男なんだから、あなたしっかりしなさいとか、そういうふうな社会的な通念、そこもやっぱり我々学んでいかなくちゃならないんじゃないかな。そういうふうなことをまず今の性に対する認識の現状をしっかり教育関係者は受けとめていく必要があるんじゃないかなということ、まず1つです。
2つ目は、議員ご指摘のようにそれぞれのらしさ、違いですね。多様な考え方、生き方があるということをしっかりと受けとめる。そういうふうな姿勢が大事なんじゃないかな。そして、お互いのらしさを認める教育を考えていきたいなと思います。
3つ目は、気軽に相談できるような環境づくりに努めていきたいな、ここが一番大事だと思います。特にきのうのテレビ放送でも、思春期、小学6年生から中学1年生に入るときですね、そのときにやはり非常に悩んでいるということですので、これは我々も含めて、大人も含めて、そこら辺で学習していく必要があるんじゃないかなと強く認識しております。
以上です。
- 私も教育長さんと同じで、大人が学ばなければいけないところかなと思います。民主党元幹事長の細野豪志議員は、我が国で残された問題の一つがLGBTの人々に対する施策であるとし、超党派の議員で議論できないか検討をされていると聞きました。こういうことについては、私たちはこの年代になって、そういうことに直面し、今から学んでいこうとするところですけれども、やはりこの多様性を受け入れる社会というのがグローバル社会になればなるほど必要になってくると思いますので、これは思春期になって学ぶものではなく、やはり小さいころからそういう多様性があるんだよとか、人を愛するという行為は、その対象が男の人であれ女の人であれ、人を愛するということはとてもとうといことだというようなそういう教育を、小さい子には小さい子の言葉でやっていく、そういうことがLGBTの子たちにも安心して学校生活を送れるような環境づくりにつながったり、そのほかのいじめの減少につながるのかなと思います。ぜひ教育現場で、まずは先生方の意識改革、そこから取り組んでいただきたいと思います。
そういう中で相談しやすい雰囲気づくりというところでは、何らかそういうものを啓発するためのポスターのようなものとか、そういうものも学校なんかに掲示するとか、そういう何か僕はこれでいいんだとか、ありのままでいいんだという、そういうことが子供たちに届くような対策をとっていただきたいと思います。質問ではなく、意見として言わせていただきました。
これで質問終わりにいたします。