えりいつ だいすき東海村 クローバー通信

恵利いつの村議会報告

平成25年3月議会質問内容

 3月11日で東日本大震災から2年が経過しました。遅々として進まない復興や避難されている方々が置かれている状況を見ると、心が痛みます。
 先日「フタバから遠く離れて」というドキュメンタリー映画を見る機会がありました。平凡な日常が突然に奪われ、故郷を失った1,423人の人たちが約250キロメートル離れた埼玉へ集団移住し、不自由な避難所生活を送られている様子が映し出されていました。希望を見失いながらも、無駄だと感じながらも、国に抗議する人たちのやるせない姿がありました。2012年3月、御年90歳で日本に帰化された日本文学研究者のドナルド・キーンさんが「震災直後は東京から明かりが消え、日本人は力をあわせて東北の人を助けていると思っていたが、今は町も明るい。もう忘れているのではないか。率直に言うと今の日本人にがっかりだと」言われたそうです。私たち日本人は、やはりここを見詰めなければなりません。東北、特に福島からの再起でなければ日本はおかしくなると、震災から2年がたった今、改めて私は思います。
 では、1問目の質問に入ります。
 東海発電所の廃止措置についてです。
 1998年に営業運転を終了してから廃止措置が進められている東海発電所ですが、その経過について我々議員に対しては年間事業計画の説明のときなどに、また住民の方々に対しては原電後援の文化事業の折や地域とのコミュニケーション活動を通じて報告はされてきましたが、福島第一原発の事故以来、いろいろな角度から関心が高まっていますので、今回は改めて3つの視点から確認させていただきます。
 1点目は、東海発電所の廃止措置は現在どのようなことを行っているのか。
 2点目は、廃止措置工事の工程、費用等において、当初の見込みどおりに実施されているのか。東海発電所の解体費用として用意した責任準備金といいますか、解体のための費用は幾らで、何割くらい残っているのか。
 3点目は、これまでに出た廃棄物はどのように処理されてきたのか。
 1回目の質問として以上3点伺います。
  • 経済環境部長
     それでは、東海発電所の廃止措置についてお答えいたします。
     東海発電所の廃止措置の工事の工程につきましては、平成13年度から平成32年度までの20年間を第1ステップから第3ステップまでの3工程に分割し、解体撤去を行う計画となっております。第1ステップとして、タービン建屋の領域の機器撤去工事などを行い、18年度から25年度までは第2次ステップとして原子炉領域以外の熱交換器等の解体撤去を進めてきております。現在は第2ステップですが、概ね廃止措置計画書に基づく工程どおり進捗しております。今後、第3ステップとして、平成26年度から原子炉容器解体の準備を進め、原子炉本体の解体撤去工事を行う予定となっております。
     また、費用につきましては公表されておりません。
     次に、廃棄物の処理についてですが、放射性物質の濃度の比較的高い低レベル放射性廃棄物L1は、原子炉領域解体に着手していないため発生しておりません。放射性物質の濃度の比較的低いもののL2と極めて低い低レベル放射性廃棄物L3については、発電所構内に保管しております。また、クリアランスには再生利用するため、累計で17トン発電所外へ搬出しております。
 費用については公表されておりませんということでしたが、以前に伺ったときに何か私契約上の都合で公表できないということを伺いましたので、当初の予定どおり進んでいるというところで了解いたしました。
 再質問として、東海発電所の解体で出る廃棄物に関して質問いたします。
 ホームページを見ると、東海発電所の廃止措置で発生する廃棄物を放射能レベルごとに示してありました。答弁でも触れられていましたが、少し詳しく申し上げます。
 レベル1はまだ出ていないということですが、これは比較的放射性物質濃度の高い低レベル放射性廃棄物で、地下50メートルから100メートル程度の人工構築物の中に設置し、余裕深度埋設とあります。余裕深度とは、建造物の基礎や地下鉄、共同溝などの一般的な地下利用に対しても十分に余裕を持った深度に埋設するということです。そのような条件で300年間管理とあります。
 レベル2は、比較的放射性物質濃度の低い低レベル放射性廃棄物であり、地下10メートル程度の人口構築物の中に埋設、コンクリートピット埋設、これも300年間管理とあります。
 レベル3は、放射性物質濃度の極めて低い低レベル放射性物質で、直接地下に素掘り、トレンチ埋設で30年から50年間保管とありました。
 そこで質問です。東海発電所の解体で出る廃棄物の最終的な処理処分はどのような計画になっているのか、東海村内にどの程度とどめ置くのかを伺います。
  • 経済環境部長
     今、先ほど恵利議員にお答えしましたクリアランスの再生利用するための累計ですけれども、約170トンの発電機外で搬出しておりますということでお願いします。
     それでは、お答えいたします。
     低レベル廃棄物のL1及びL2につきましては、最終的な処分は決まっておりません。処分先が決まるまで発電所構内で保管いたします。また、L3につきましては、構内で埋設方向で計画されております。
 作業者の安全を守ることはもとより、住民へも十分な安全対策をとられていると考えますが、住民からは今後続けられる解体作業の中で放射能の飛散などを心配される声もあります。安全面への注意はどのようになっているのでしょうか。
 また、これまでの廃止措置に伴って村に報告された事故等があるのか、2点伺います。
  • 経済環境部長
     発電施設の解体中の安全面についてですが、除染拡大防止のための囲い、局所排風機、局所フィルターにより飛散の防止策を講じております。特に炉内の構造解体作業における安全対策は、遠隔作業で実施するなど各種の方策について検討しております。また、廃止措置に伴う報告された事故等においては、法令報告事象はありませんが、熱交換器上部の閉止板溶接部分の割れ等のふぐあいの事象がありました。
     廃止措置の作業に伴うふぐあいの事象が発生した場合でも、その都度、連絡するとともに公表することとしております。
 今後とも安全に留意し、慎重に作業を進めていただきたいと思いますし、村もしっかりと注視していただきたいと思います。
 次の質問に入る前に、原電のホームページから抜粋したものを紹介いたします。
 「東海発電所の廃炉措置は、日本初の商業用原子力発電所の安全かつ合理的な廃止措置の実証という新たな役割を担っています。廃止措置のパイオニアとしての使命を果たすとともに、将来の軽水炉の廃止措置に役立つよう、東海発電所で得られる技術ノウハウの蓄積に努めています」とあります。今、国内にある54基、3・11以降は50基ですが、そのどの原発も、いずれは廃炉としなければなりません。その点からも原電には安全な廃炉技術を確かなものにしていただきたいです。どんな企業も生き残りをかけて変化をしていきます。日本原電には変化を恐れることなく、これまでも、そしてこれからもパイオニアとしての大きな使命を担っていただきたいと私は思います。
 続いて、2問目に移ります。
 東海第二発電所の廃炉計画について費用面の質問と今後についてお尋ねします。
 原子炉の稼動は40年を原則とするとなっています。遅くとも5年後には廃炉となります。この質問は、いずれは必ず来る廃炉のことを言っています。
 10数年前に中学校のPTA活動で原電へ視察した際に、火力発電などその他の発電と比較したグラフを示しながら、コストは原発が一番安いと説明されました。私は放射性廃棄物の処理処分について決まっていないのに、なぜ一番安いと言い切れるのだろうと疑問に思ったので、その場で質問したことを覚えています。答えは、廃炉処分の費用は別枠でためてあるので、その分を含めて一番安いということでした。そのときは、お弁当と観光地に向かうバスの無料貸し出しがついていたので、どこか遠慮もあり、それ以上は突っ込んで聞きませんでした。今の私だったら、もっと突っ込んで質問するだろうと思います。その後も資料で得られる情報は、いつも原発が一番安いというものでしたが、釈然としないままでした。
 3・11以降におくればせながら見えてきたことは、算定の基本とする項目、数字をどう組み合わせるかで、いかようにもなるという数字のトリックです。3・11の大震災がなければ、原電は高経年化対策ををとりながら運転を続け、廃炉のための積み立てを着実にされたと考えますが、現状では再稼動はかなり厳しいのではないかと思います。というより、立地条件等を考えると個人的にはストップと言わざるを得ません。
 そこで質問です。
 原電は東海第二が廃炉となった場合の廃炉措置費用はどのくらいかかると見積もっているのか。その見積もりに対して東海第二廃炉のための準備金が幾らプールできているのかを具体的に伺います。
  • 経済環境部長
     東海第二発電所の廃炉になった場合の廃止措置の費用について、解体引当金の算定の基礎となる見積額は平成23年度末時点で630億円です。また、これまでに廃止措置の費用として積み立てた解体引当金は490億円と確認しております
 ありがとうございます。まだ足りていないのは理解いたします。先日の報道で基本料金が支払われているということで、原電の純利益が200億を超えると報道があったように記憶しています。廃炉には膨大な費用がかかることを考えれば、今後しっかり蓄えていただきたいと思います。
 再質問は村長にお尋ねいたします。
 3・11以降、発電できない状況、つまり他の電力会社が支払う基本料金だけで経営を続けている原電が、国の方針が決まる前に再稼動に向けた対策を進めようとしていることや、敦賀市へ、先ほどの質問にもありましたが、12年度分として7億円、13年度分として6億7,000万円の高額寄附を継続しようとしていること、また金額的には小さいことですが、住民に10数年前と同じように無料バスのサービスを続けていることなど、これまでと変わらない原電の経営体質、地元対応について村長はどのようにお考えでしょうか。
  • 村長
     原電としましては、再稼動までに安全対策ということで見積もっているのが500億というふうに新聞紙上では報じられております。電力会社というか、本土内といいますか、沖縄電力を除いて9社、そしてまた原電をひっくるめて10社がありますが、これが約1兆円の対策費が必要だというふうに見積もられているというのは報道されておりました。
     私も今、再稼動できるかどうかわからないというふうな状況、そして新しい規制の考え方が出ている中で、その中で先行してどんどん投資をしていくということはちょっとわかりません、そういう気持ちは。
     わかることは、これは自分たちで負担しなくて済むという考えですね。通常の企業ですと設備投資をすれば、その設備投資はその設備を使って上がってくる利益によって、それを回収していくということになりますが、この電力業界だけは、それは総括原価方式ということで、電気料にそのまま上乗せができるというようなことから私はなさっていると。
     これはまさに異常な業界だなと思っていますし、それは国民に対してのツケと回ってくるということですが、もともと現在やっているのは、前の安全・保安院が福島原発事故の後、再稼動に向けまして直ちに堤防の防潮堤だとか、あるいは非常用電源車だ、あるいは消防ポンプ車だとか、そういうものの補強をしろと。いわゆる対症療法ですが、それを指示していたということで、その指示に従ってやっているということだろうと思うんですが、まさにこれが日本原電について言えば、これから全体で500億も投資するということですが、それが敦賀のほうは、1号機は40年経過している。東海第二発電所も、たとえ再稼動しましても恵利議員が言うように40年は目前に迫っていると。そして、敦賀第二については原子炉直下に活断層があるという、これが大方固まりつつあると。原電のほうでは異議申し立てをしているようでございますが、しかし専門家の判断においても、規制委員会ばかりじゃなくて外部の評価委員の人たちも活断層に間違いないというふうなことがつい最近言われておりますが、そういうことからいいまして果たして回収できるだろうかと。これは国民のツケに回ってくると。
     そういうことでありますが、そしてまた現時点では日本原電のほうの資金繰りが極めて危険な水域に入っていると。これがいわゆる出資している電力会社がそれを支援するとか、あるいは日本原電に対して再処理費用としての納付金を400億円返還してもらうとかいうようなことやっておりますが、そのような状況の中で依然として投資を続けると。あげくの果てには敦賀市に7億円近い金を寄附をしたと。これまた理由が3号機、4号機をつくるということで、いわゆる敦賀市内のほうから半島に行く道路の交通量の緩和のためだというようなことで、これは市道整備というようなことだそうでございますが、そのために寄附をしているということでありますが、そのようなことが果たして許されるんだろうか。3号機、4号機も、その新増設はしないというのが前政権時代の国民に対しての約束だと思います。それを今のような経営状態の中で寄附をするというようなことは、私は信じられませんですね。
     東海村は一切寄附はいただていておりません。敦賀市のようなことはしておりません。私はそういうことを受けようということは一度もしたことはございませんし、そういうことでありまして、大変私はこれがいわゆる電力業界あるいは原子力業界という体質なのかなというふうに見ております。
 率直なご意見ありがとうございます。私もちょっと信じられないな、理解できないなという面があります。それで、経営方針に対してはそういうふうに疑問もありますが、そこに働く人の視点から村長にもう一度お尋ねいたします。
 住民の生命と財産を守ることは首長の責任であることは言うまでもなく、その点から東海第二の廃炉を村上村長が早い時期から求めていらっしゃることは理解します。
 一方、国策として進めてきた原発です。パイオニアを担ってきた日本原電のその職員だけでも約300人が住む東海村です。家族を含め、その生活を守ろうとすることも大切です。3・11から2年がたちました。この間、敦賀原発の活断層問題など原電の置かれている状況は、とても厳しくなっています。
 先日3月11日の岡崎議員の質問に村長は、これまでの原電との歴史を考えると悩ましい問題と答弁されました。本当に複雑で悩ましい問題と私も思います。だからこそ思うのですが、今後の原電のあり方について首長として原電側と話し合ってもよいのではないでしょうか。いかがお考えでしょうか。
  • 村長
     原電に働いている人たちが村内に300人お住まいになっているというような話でございますが、最近の調査した情報では、原電全体で社員は366人ということで、そのうち村内在住者は176人というふうなことでございますが、そのことで、じゃ176人だから少ないからいいかというふうなそういうつもりではございませんですが、きちんと数字は固めておきたいなということで答弁させていただきましたですが、私も一番悩ましいのはそこですよね。働いている人たちがいるし、そしてまた、それに関連の業者もおられるということで、これは原発立地自治体としては一番頭の痛いところですよね。東海村以上によその原発立地自治体だとすれば、原発に完全に依存している社会構造になっておりますので、あるいは経済構造になっておりますので、その点が一番の問題だろうというふうに思っております。
     そういう点においては、これは国のほうが責任持ってやらなければならない話だろうと思います。どれくらい原発を減らすのかわかりませんですが、しかし新しい安全基準に基づいて、それで審査をして原発を動かしていく、あるいは新しい原子炉等規制法によりまして40年規制というものを決められているということを考えますと、今の原発が全て50基が再稼動できるということはあり得ないだろうと思います。
     その点では、私はこれは電力業界の問題であり、国の問題であり、そちらが明確に方針を出さなければならない話だろうと思っております。その中でも日本原電については先ほど申しましたが、敦賀1号機、2号機の問題、3、4号機の計画の問題、そして東海第二の立地問題、あるいは周辺自治体と立地している東海村の状況等を考えたらば、これは待ったなしの状況になりつつあるということで、この点については電力業界の電事連中心としての考え方、そして国自体が方針を出してくるべきだと思っています。
     そういうことから7月に原子力規制委員会のほうで新安全基準を出してくる、確定するということでありますから、そのあたりから動きが出てくるだろうと私は思っております。そのあたりというのは、それが近づいた時期あるいはそれ以後に動きが出てくるだろうと思っていますので、そういうことにつきましては国や電事連やそういうところについて、日本原電の今後のあり方ということについては話をしていきたいと思います。
     もちろん日本原電と話し合えということでありますが、十分に話し合いたいと思いますが、日本原電は今のところ再稼動、再稼動に向けて必死になって今努力をしているというような状態でありまして、私の意見について聞く耳を私は持ってもらえるとは思っておりません。今後やはり廃炉せざるを得ない原発が全国各地で増えてくる、世界各地でもそうだと思いますが、それに対して廃炉技術というものの先駆者になってくれなんて言ったところで、聞く耳は私は持っていただけない。何を言うかということだろうと思いますので、7月近くになりまして、当然ながらその前にも政府や、そういう電事連とかについては話をしたいとは思っておりますが、その後ということになろうかと思います。
     以上です。
 ありがとうございました。ぜひ時期が来たら、村長なりの時期が来たときにお話をしっかりやっていただきたいと思います。その上で東海村内には原電とおつき合いのある企業がいろいろあります。そういったところへの影響も深刻であることは想像にかたくありません。廃炉となった場合の地元産業への影響についても、村として考えなければならないことであり、地域振興策をどのように行っていくかも大きな問題であります。
 先月27日に地元の企業、村内企業数社でつくった新会社ですが、その企業と協定が結ばれた屋根貸し事業のような新たな取り組みが商工会に活気を呼ぶことを期待して、次の質問に移ります。
 3問目は、モニタリングステーションについてです。
 2月13日に開かれた県東海地区環境放射線監視委員会において、モニタリングステーションを停電時でも使えるように電源設備を強化することになったと報道されました。このことについて、私は3・11大震災後の6月議会において質問をし、要望をさせていただきました。そのことが今回の計画につながったのであれば、担当職員の方がしっかりと県に要望してくださったおかげと感謝いたします。
 そこで、質問ですが、村内にはどのように整備される予定でしょうかお伺いいたします。
  • 経済環境部長
     それでは、お答えいたします。
     現在、村内には県設置分として7基のモニタリングステーションがありますが、そのうち東海第二発電所に近い5基については、平成25年度から3カ年計画で自家発電機が設置される予定です。また、自家発電機のバックアップ電源として火発型発電機も整備されるとのことでございます。
 設置場所等わかりました。
 再質問は、管理メンテナンスは本来は県なのでしょう。しかし、3・11の経験からしても、東海村が非常事態になれば広域で同じような状況になることが考えられます。そのようなとき、県職員が県内全てのモニタリングステーションの自家発電機の管理をするのは容易なことではありません。広域の非常事態に備えて設置自治体も管理できる、つまり扱えるようにしておくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  • 経済環境部長
     より実効性のある緊急時の対応のため、緊急時における村の役割分担等もモニタリングステーションの管理について県と協議を重ねてまいりたいと考えております。
 ぜひ慌てることがないように、しっかり対策を練っていただきたいと思います。
 平成23年6月議会でも触れた問題ですが、もう一度要望しておきます。というのは、昨年7カ所のモニタリングステーションの設置場所を地図に落としてみますと、村の周辺部にのみ設置され、人口密集地にはモニタリングステーションはありません。村の中央部、例えば旧合同庁舎の交差点のあたりにもモニタリングステーションがあれば、多くの住民が環境放射線を確認できます。ぜひ必要と考えます。県へ要望していただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  • 経済環境部長
     モニタリングステーションの増設につきましては、県のほうに要望してまいりたいと思っております。
 4問目は、まちづくりについてです。今回は、まちづくりを考える委員会に関しての質問です。
 レインボーL3プランの資料の提供ありがとうございます。一見読みづらいかと思いますが、「L3」の文字を「エルキューブ」と読みます。レインボーは世界中のいろいろな国の人がまじり合うをイメージし、L3は共生サポート、共存共栄を意味するLive and Let-Liveの頭文字です。
 J-PARCの稼動に伴い、国内外からの転入者が増えることを鑑みて、2003年に村内在住の女性を中心にボランティア参加で設置された委員会です。約14カ月にわたり調査、議論を重ね、外国人に優しい住みよいまちは住民にも優しいまちとしてまとめられた世界に通じるまちづくり10の提言レインボーL3プランは、これまでの政策にどのように生かされてきたのか伺います。
  • 総合政策部長
     レインボーL3プラン、ウイ・ラブ東海は、メンバーのお一人として恵利議員にも参加いただいたレインボーL3プラン策定委員会21名が平成15年1月から16年3月までの間、延べ15回の会議を行い、外国人と日本人がともに生活できる魅力あるまちづくりを目指して今議員がおっしゃられたとおり、世界に通ずるまちづくり10の提言として取りまとめられたものでございます。
     その達成状況ですが、外国人用ハンドブック、「とうかい」広報の英語版、ホームページの開設、Eメールの配信など項目数で申しますと、ご提言いただいた約5割程度が実施されており、詳しくは提出させていただきました資料をごらんいただきたいと思います。
     この10の提言は、平成16年度に策定されました高度科学研究文化都市構想に引き継がれ、さらには今年度策定しましたTOKAI原子力サイエンスタウン構想に引き継がれ、東海村の国際化推進の指標とさせていただいております。
     以上でございます。
 提供いただいた資料から、10年間でおよそ半分程度の取り組みとは言うものの、その達成度を見ると、やや残念に思います。提言の全てがそのまま具体化されるものではないにしても、これまでにもう少し準備できたのではないかと考えます。このプランに限らず、行政全般について思うことですが、住民と職員がともに苦労してまとめたもの、各種計画書などですが、それが十分に活用されないままに机上の議論を繰り返しているのはもったいないです。言いかえれば行政の無駄になりかねません。
 そこで質問ですが、多くの人と時間を費やし、議論を重ねて計画された政策がどのように実行されているか、進捗状況等をチェックする担当が必要と考えます。現在、プラン、実行、チェック、アクションのPDCAの取り組みがなされているようではありますが、そのあり方も含めて検討する必要はないのでしょうか。
 例えば策定にかかわった委員の方、代表の方でもいいです。その委員の方にPDCAを行うときに協力をいただくことも一つの方法と考えます。いかがお考えでしょうか。
  • 総合政策部長
     通常、村の重要な計画を策定する場合は、村民の方々を中心とした策定委員会を設置し、その下部組織に実行部門の担当者によるワーキングチームを配置して検討する方式がとられております。昨年10月、東海村自治基本条例が施行されましたが、この条例は村民自らが村と協働で主体的にまちづくりに取り組むことを規定しております。村民の役割や権利を明確にし、計画には発想段階から参画でき、そして実行から評価までのPDCAサイクルにかかわり、より責任ある役割を担っていく必要性がうたわれております。既に環境基本計画などでは村民の方々が主体的に活躍されており、今後の計画策定のスタイルを明示していると評価しております。
     これから策定される重要な計画や構想につきましては、自治基本条例に沿って計画策定後の進行管理におきましては、行政としましても策定に当たられた村民の皆様と一緒になって進行チェックや適切な評価のあり方等を検討して進めてまいりたいと思っております。
     以上でございます。
 前向きのご答弁ありがとうございます。
 行政マンだけでPDCAを行うと、思い込みがあったり、チェックが甘くなったりすることも考えられますので、ぜひ新たな取り組みを取り入れていただきたいと思います。
 3・11以降、村民の多く、特に商工業者の方々が深刻かと思いますが、東海第二が廃炉となった後のまちづくりを心配しています。これまでの有識者会議のように大所高所から見たまちづくりを考える一方で、いつかはやってくる原発廃炉後の東海村について、村民に身近な視点から、どのように取り組んでいくかということを村民有志、特に商工業者を入れて考えていく必要があると私は思います。
 そこで質問ですが、来年度計画されている国際化推進専門委員会とはどのようなものでしょうか。また、位置づけはどのようになるのかを総合政策部長にお伺いします。
 続けて、理事にお尋ねします。
 これまでは国際化に向けたまちづくりでしたが、東海村の第2ステージ、つまり東海らしさを生かした21世紀型のまちづくりという視点からの質問です。村としては、これからのまちづくりのためにTOKAIサイエンスタウン構想の具体化に取り組むことと思います。しかし、この構想は東海村だけで到底実現できるものではなく、県や国との連携、そして原子力機構と関係機関との連携をどのようにとっていくかが今後のポイントと考えます。(仮称)原子力センター構想の立ち上げのときからご尽力いただいた理事に今後の取り組み、展望について伺います。
  • 総合政策部長 ご質問は東海国際化推進専門委員会についてでございますが、この兼ね合いがございますので、推進会議の件も含めてご説明申し上げます。
     TOKAI原子力サイエンスタウン構想の推進に当たり、地域行政を含む地域社会や各原子力関係機関、その他の関係機関がコンソーシアムのような形で交流、連携し、今構想を一体的に進めていく体制をどのように進めていくかを検討するTOKAI原子力サイエンスタウン構想推進会議を設置したいと考えております。
     メンバーとしましては所属長、それか、もしくはその方に準ずるクラスの方々15名以内を考えております。さらには、この推進会議の下に東海国際化推進専門委員会を位置づけ、この構想の大きな目的の一つ、原子力と地域が調和したまちづくりを推進するため、「国際化」というキーワードを具現化して海外からの来訪者や在村外国人に開かれた、そして住民や東海村を中心に近隣地域も含めて国際的かつオープンなまちづくりのための具体的な検討を行ってまいりたいと考えております。
     メンバーといたしましては、住民の声が反映されるよう自治会連合会、観光協会、民生委員児童委員協議会、また東海村の国際化を担う東海村国際センター、JAEA管理部、多くの外国人が来られますJAEA国際部、J-PARCセンター、KEK先端基礎研究センターと、これに行政も入りまして15名程度で構成したいというふうに考えております。
     以上でございます。
  • 理事
     TOKAI原子力サイエンスタウン構想の具体化、これからどうするかという視点だと思います。恵利議員から今質問の中でお話しされたこと、あるいは今、部長から答弁されたことも含めて少し全体的なことを私からお話をさせていただきます。
     ご案内のとおり、あるいは全員協議会でもお話ししましたとおり、この構想はあくまでも中長期的なビジョンということで、先ほどPDCAのお話しされましたけれども、まだプランにもなっていない、その1つ前の段階であるというふうに私は思っています。ビジョンです。これをアクションプランというものに変え、それからドゥーの段階、実行の段階というふうに変えていく必要があると思っています。それによって、ビジョン、このビジョンというのは30年とか40年先をにらんでいるわけですけれども、そういったビジョンの実現を長期的に図っていくということが必要かと思います。
     そのためにということで、ポイントを私今、整理すると3点あると思っています。
     1つは、この構想の中にも書き込んでありますが、多くの村民の皆様がこの構想に書いてある趣旨とか理念とか視点とか方向性をまず共有していただくことだろうと思っています。この村民と今一言で言いましたが、これ決して住民だけを指しているわけではありません。住民も含みますが、自治基本条例の定義にもありますとおり、この地域で働いている人、あるいは事業活動を行っている会社組織ですとか法人組織、個人、それからもちろん自治体も含んだ概念であります。この東海村にかかわる人たちが、多くの人たちがここに書いてある方向性を共有する、まずはこれが一番大事なんだろうと思います。そして、この多くの方々が共有した方向性に向かって一緒になって議論し、進めていく、そういう体制が大事なんだろうというふうに思っております。
     TOKAI原子力サイエンスタウン構想、この議会でもいろいろな意見をいただきました。特に原子力発電あるいは原子力エネルギーに関しては意見が分かれているようです。これはそのまま村民の意識もそうだと私は思っています。この点については、まだ意見が分かれておりますので、この構想の中に特に具体的に取り込んでまでは行っていないんですが、一方でそこを除けば、例えばJ-PARCのような最先端科学を進めていくこととか、あるいはエネルギー面では安全等で貢献していくとか、そういうことについては、これはある意味、逆に言えば村民の皆様ほぼ共有できつつあるんではないかというふうに思っておりますので、なお、さらにこの共有するようなことを進めまして、本当に皆様がこれに向かって一緒になってやっていこうというまず雰囲気づくり、意識づくりを進めていきたいというふうに思っています。
     2点目ですが、これ恵利議員からお話がありましたように、関係者の今度は協力、協働体制というものをつくっていかなければなりません。先ほど部長の答弁にありましたとおり、推進会議というものを企画したいと思っていますが、その中でも、とりわけ茨城県、それから東海村、それから原子力機構、この3者の協働体制をつくることが非常に重要だというふうに思っております。
     参考例として申し上げれば、今筑波研究学園都市、いろいろ国際戦略特区なんかで少し注目を浴びているところですが、この筑波も、もともと考えれば1970年代ですか、筑波研究学園都市建設法ということで、ある意味、国策ですよね。国の政策に基づいて国立研究機関の移転とか環境整備が図られてきたわけですが、必ずしも十分な成果が得られていない中で、普通ですと国策でつくったんだから国何とかしろという話になるんですが、それでもらちが明かないということで、筑波においても平成22年1月に、これは国ではなくて県と市が研究機関の方々を交えて委員会をつくって、筑波のグランドデザインというのをつくったんですね。これが始まりになって、昨年、一昨年ですか、国際戦略特区が認定され、24年度はこの特区に関係して、例えば国から予算が来てプロジェクトがどんどん進むという、今そういったスタートが切られつつある段階にあります。
     ある意味、全く同じではないんですけれども、やはり筑波のこのような地域から主体的に動いていく取り組み、こういったものも参考にして、この地域においても東海村だけではないのかもしれません。市町村でいえば周りの市町村も含めてだろうと思いますが、市町村、県、それからここにある一番の研究機関では原子力機構になりますので、その3者が特に強く連携して体制づくりをして先導していく必要があると思っています。
     それから3点目、最後になりますが、これは恵利議員の質問にもありましたとおり、今度は行政、それから住民とか、それからあとは原子力関係者、もう少し小さなコミュニティーでのオープンな対話、これからコミュニケーション、ディスカッション、議論ですね、こういったものが必要だというふうに思っています。この原子力関係者の中には外国人研究者も含むという意味です。
     例えばこの構想の中にも先導プロジェクトの例ということで幾つか掲げた中で、例えばまちの活性化を図るとか、それから子供たちに最先端科学や外国の文化を知っていただく、知ってもらう、あるいは勉強する機会を提供するとか、あるいは原子力安全モデルをつくっていくとか、そういったものについては今申し上げたような住民も含めてオープンなディスカッションをしながら新しい方向性、具体的な方向性をつくり上げていって、それを具体化していくというふうにしていきたいと思いますし、予算の中でも計上していますが、そういった場にできればリコッティなども活用してやっていけたらいいなというふうに思っています。
     以上が私が大事だというふうに考えている3点でございますが、最後総括して申し上げれば東海村も50年間、原子力やってきて、多分50年前とは全然違った今ができているんだと思うんですね。今はさらに次の50年とは言わないかもしれませんが、21世紀半ばを念頭に置いて、50年前は当時50年前の大人世代がいろいろ考え、行動し始めたことが、その子供たちである我々世代が今享受しているわけですので、今我々世代が今いろいろ考えてつくっていくことをぜひ21世紀の半ば頃に、今の子供たちが享受できる、そういったまちづくりを進めていきたいと思いますし、でぎばいいなというふうに思っております。
     以上です。
 ありがとうございます。しっかり取り組むことで夢が次々とひろがるのかなと私も思います。
 まちづくりを1軒の建物に例えると、このTOKAI原子力サイエンスタウン構想を建物の骨格、建屋とすれば、生活者にとっては部屋の中をどのようにデザインするかが大切になります。つまりどんな家具を入れるか、色や配置はどうするか、観葉植物を置くかなど、そこに暮らす人たちが快適に生活できるように住民が自らの思いを形にしていくことが今後大切です。国際化専門委員会が身近な視点からまちづくりについて発信する委員会であり、行政と協働のまちづくりを具体化する委員会となることを願っています。
 次の質問に移ります。
 最後の質問は、中高年者のための健康(教育)教室の充実を求める立場からの質問です。
 この質問は、今年に入って50代の女性と95歳というご高齢の方から、経験に基づくご意見をいただいたことがきっかけです。95歳の男性は3月議会に請願を出されているようです。
 超高齢社会に向かっている現状において、病気と介護の予防は本人や家族のみならず、保健行政の面からも大切な課題と考えます。健康に老後を迎え、ぴんぴんころりのためには、中高年のときから健康管理が大切なことは言を待たないことであり、行政としても健康診断や健康教室などの施策に取り組まれていることは承知していますが、高齢者に比べると中高年への施策が少ないという声があります。このことは随分前から言われていることです。健康教室の類いは場所の確保や許容人数などがネックのようです。見方を変えると、空きがないほどに活発に行われているという評価もできます。
 しかし、まだまだ必要性がないわけではありませんので、そのための政策をしっかりと打ち出す必要があると考えますが、村の考えを伺います。
  • 福祉部長
     お答えいたします。
     本村では平成23年度に第2次健康づくり推進計画を策定いたしまして、一人ひとりが生き生きと健やかに暮らすことができるまちを大目標といたしまして、若いころから健康を維持するためにバランスのよい食習慣を身につけることや地域や家族、仲間と楽しく運動を継続できることを目指して、住民の皆様の健康づくりを支援いたしているところでございます。具体的には、毎月実施している健やかウオーキングのほか、各種運動教室、健康教室、各種検診の実施、健康相談、議員ご指摘のようにたくさんやっております。住民の皆様が自分自身の健康を振り返り、健康の保持増進のための生活習慣への取り組みについてサポートしていきたいと考えているものでございます。
     村内ではグループとして多数の方が活動されているとも伺っております。公共施設だけでは到底、先ほどのご指摘のように空きがないという状況もあります。たくさんのネットワークを使っていく必要もあると認識しております。さらに、健康づくりというのは一朝一夕には成果の出るものではなくて、若いころから健康なときから健康に関心を持ち、家族や仲間、地域の皆様とともに実践していくということが高齢期になってからの介護予防につながっていくものと認識しております。
     村といたしましては、これらのことを踏まえまして、各種の健康づくり事業に加えまして、みんなの健康広場掲示板、こういうものがあるんですが、これをさらに活用させまして、健康に関するPR活動にも努めてまいりたいと考えております。
     以上でございます。
 いろいろな教室が行われていることは承知しておりますし、さらに今のご答弁でも充実しているなというふうに確認いたしました。
 ただ、みんなの健康教室掲示板というものがどこにあるかが、そこがわからないところもありますので、そういう広報の仕方というところも、求めている人はわかるのかもしれないのですが、利用者が固定化されることなく、いろいろなチャンスがたくさんの方に投げかけられるような方法を考えていただきたいと思います。
 健康診断や健康教室といった福祉的な政策だけで村民の健康向上を図るには限界があると考えます。10年くらい前に学んだことですが、茂木町では環境、農業の取り組み、健康増進などの行政の横断的な取り組みが1つの流れとなり、まちおこしにつながり、結果的に健康な高齢者が増え、数年後には国保税まで下がったということです。このことは以前にも議会で触れたかと思います。
 これからは担当課を越えて新たな発想、視点から健康増進につながる施策が生まれることを期待して、私の質問を終わります。