えりいつ だいすき東海村 クローバー通信

恵利いつの村議会報告

平成28年9月議会質問内容

 観測史上最大と言われる雨量や堤防決壊を引き起こした10号をはじめ、切れ目なくやってきた台風が日本各地に大きな被害をもたらしています。近年の天候は異常気象という言葉が日常的に使われるほど、これまでに経験のないことが地球規模で起きています。今議会において他の議員も触れていますが、ゲリラ豪雨に備えるなど基盤整備、安全対策の優先順位を上げるなど、もっと力を注がなければならないと考えます。備えあれば憂いなしです。
 1問目は、予算規模12億の歴史と未来の交流館建設は本当に必要かということを軸に質問いたします。
 光風会では、この建設について住民の方々から寄せられる声を受けとめ、問題意識を持って取り組んでおります。これまでにも申し上げていますが、光風会は建設計画の全てを否定しているわけではありません。少子化が加速度的に進む人口減少社会を考えてのことです。8月24日に行われた橋本知事による県政報告会の中で、茨城県の人口ビジョンは現在の約290万人が2060年、44年後ですね、2060年には190万人程度になる。290万人が190万人、現人口の3分の1、約100万人も減少するとの驚くべき数値が示されました。東海村の人口ビジョンでは2040年、16年後には現状維持の3万8,000人ですが、その後は次第に人口減になり、2060年には3万5,000人前後、人口ピラミッドはひょうたん型からつぼ型に変化していくとあります。そのつぼ型も、だんだんと肩の張った高齢者の分布が多くなると考えます。
 国や県の人口が減っていく中で、東海村だけが例外というわけにはいきません。今後、高齢化に伴い、介護、医療費等の伸び、また格差社会の中での健全な子育て支援など、福祉関係費の増大が予想される中、新たな箱物、公共施設建設は慎重になるべきというスタンスで問題提起をさせていただきます。
 賢く使うという点で、まず1回目の質問は、東海村が昨年度取得しました旧リコッティ、今の東海村産業・情報プラザ、愛称アイヴィルについて質問いたします。
 東海駅前にあり、とてもいい場所に村の施設を取得できたと考えますが、現状は住民に十分に活用、親しまれているかというと、そうではないように見えます。予算書で確認してみますと、維持管理費に約3,200万、アルバイト代に約900万、合計4,000万円強の経費が充てられています。そのほかに役場職員が観光協会事務局として2名、果たして現状住民にとってそれだけの経費をかけているだけの価値のある建物になっているのでしょうか。
 1回目の質問は、アイヴィルの活用、今後の見通しついて伺います。
  • 村長公室長
     お答えいたします。  東海村産業・情報プラザ、アイヴィルの状況でございますが、昨年8月に取得し、今年1月21日に供用開始となったところであります。オープン以降8月31日現在の来館者数は延べ3万5,108人、1日当たりですと約180名ということでございます。各区分ごとの稼働率としましては、会議室が58.5%、ホール35.2%、スタジオ28.5%となっております。施設全体の利用で見ますと、開館日数が193日に対しまして146日のご利用となっておりまして、貸館としての利用率は75.6%となっております。
     また、現在、東海村観光協会が中心となりまして、さまざまな方のご意見を取り入れながら、アイヴィル利用活性化に向けた取り組みを検討しておりまして、村への提言書にまとめると聞いているところでございます。
     村としましても、各部屋の稼働率を高めるため、ホールにおいてはピアノの発表会や立食パーティーなど工夫を凝らした利用ができること、スタジオは完全防音の部屋となっており、周囲を気にせず楽器の個人練習ができることなど、施設の持つ特徴の周知に努め、アイヴィルの認知度向上を図り、地域交流の場、情報発信の場として機能を高めてまいりたいと考えておるところでございます。
     次に、創業オフィス、創業デスクの現状についてでございますが、現在創業オフィス5室のうち2室の入居にとどまっており、また創業デスクについては利用されてない状況でございます。まだまだ利用率としては低いものと考えております。
     しかしながら、東海村として初めて取り組むこととなった創業支援でございますので、議員ご指摘のとおり、人口減少社会において地域の活性化が重要になってくるからこそ地方創生が叫ばれているものですので、その最たる取り組みである創業支援は東海村のみならず我が国において重要なものであると考えております。
     また、アイヴィルに入居している事業者が従業員とともに村内のお店で昼食をとったり、懇親会を行っていると聞いております。村の創業支援を受けると同時に、地域経済の活性化にも一役買っていただいているものと大変喜ばしく感じているところでございます。
     いずれにしましても、今後はアイヴィルに設置しましたインキュベーションマネジャーや商工会、日本政策金融公庫、ひたちなかテクノセンターと立ち上げました創業支援ネットワークによりまして、創業の支援はもちろんのことですが、加えて創業希望者の掘り起こしにも取り組んでまいりたいと考えております。
     最後に、各自治体で地域活性化の課題となっております観光、創業、情報発信などの取り組みにつきましては、地域の皆様と協力しながら進めてまいりたいと考えておるところでございます。
     以上でございます。
 丁寧な答弁ありがとうございます。今月初め、9月7日、観光協会が主催し、アイヴィルの活用についての意見交換会が開かれました。私も参加させていただき、熱心な意見交換に触れることができました。今後に期待するところです。
 また、貸しオフィスについては、これからもう少し時間をかけたいということは理解いたしました。とはいえ、どこかで時間を区切らないといけません。まずはPRを頑張って利用者を増やしてください。また、アイヴィルについて住民からは、静か、寂しい、入りにくいとの声がありますが、いつになったら住民の集える活気のある場所になるのでしょうか。もったいないです。貸館稼働率は75.6%と報告されましたが、この捉え方は甘いのではないかと思います。
 部屋別に見ると、会議室3部屋あって58.5%ですから、3部屋で割ると平均20%の稼働率になります。さらに、時間帯で見ると、もっと低いでしょう。一般企業では考えられないほど甘い運営でないかと思います。こんなに悠長に構えていたら民間では潰れてしまいます。行政は民間が手を出さないところを補っていくのかもしれませんが、管理維持費としての4,000万円は血税で運営しているという認識を持ってください。
 続いて、再質問です。
 公共施設等総合管理計画の作成がおくれていることは、先ほどの武部議員への答弁でわかりましたが、3点お尋ねいたします。
 1点、ここ10年間で建てられた公共施設の主なものをお示しください。
 2点、既存公共施設で稼働率の低い建物など課題のある建物にはどのような施設があると捉えているのか。
 3点、その建物について今後どのような改善策を考えていますか。
 以上お尋ねいたします。
  • 総務部長
     お答えします。
     初めに、過去10年間に建設された主な公共施設につきましては、白方、照沼、中丸の各小学校と東海中学校及び白方、照沼の各学童クラブ並びにとうかい村松宿こども園、それに中央公民館、村民活動センターの9施設となっております。
     次に、主な公共施設の稼働率につきましては、公共施設等総合管理計画策定作業におきまして集計中でございますので、施設ごとに作成する施設カルテにおいて公表させていただく予定となっております。
     最後に、稼働率の低い公共施設の改善策につきましては、管理する課が異なっておりますので、今後より横断的な利用方法を模索してまいりたいと考えております。
     以上でございます。
 1点、いただいた答弁に1点再質問いたします。
 稼働率の低い施設の改善として、今後より横断的な利用方法を模索していくとありましたが、具体的にどのようなことをイメージされているのでしょうか、お尋ねいたします。
 続いて、歴史と未来の交流館建設について質問です。
 ここ10年間に建てられた主な施設として9施設ありました。うち2つはプレハブかと思います。大きなものは学校や保育園であり、箱物と言っても誰もが納得する建物です。しかし、維持管理、改修費など将来にわたり重くのしかかってくることは必至です。
 そこで、新たに予算規模12億円の箱物、歴史と未来の交流館は本当につくってよいのでしょうか。光風会には、いまだにいろいろな方々、若い子育て中の方から現役世代、自営業の方、農家の方などから、なぜ必要なのか、行政としてもっと優先すべきことがあるだろうとのご意見をいただきます。
 2年くらい前から資料館等の視察を心がけています。7月29日にも茨城県埋蔵文化財センターいせきぴあを視察してきました。テレビニュースで開館したと放送された二、三日後です。夏休みでもあり、混んでいるのかと思ったのですが、午後3時頃の来館者は、玄関を出ようとしていた人、そして1時間余り見学して帰ろうとしたとき、4時過ぎに家族連れが来ました。わずかに2組だけでした。いせきぴあ茨城は廃校になった小学校の建物を再利用したもので、広々としていてイベント等もできそうです。まさに新しくつくることより、今ある施設を賢く使っている実例です。
 東海村で独自に歴史と未来の交流館として新たな建物をつくるよりも、県の施設や村の既存施設を使って特別企画展のようなイベントを行うことで子どもたちへの教育もできます。そのほうが村民の注目を引くと考えます。今の計画では危うさを感じます。それは目指す方向が定まっていない、説明を受けるたびに方向が変わるというのも一因でしょう。
 また、これまでの答弁によりますと、ボランティアの協力で運営費を節約するということですが、その実績はどこにあるのでしょうか。実績を確実なものとして計画を進めないと、今のアイヴィルのように館全体としての使い方がはっきりしないまま8カ月も過ぎてしまうことになります。一般の会社で考えると経営が成り立ちません。厳しいようですが、村の予算は全て税金ということです。12億円の大きな予算を充てようとしている歴史と未来の交流館建設について改めてお考えを伺います。
  • 総務部長
     私からは横断的な利用方法についてお答えいたします。
     まずは施設を所管しております各担当において稼働率が低い原因を検証いたしまして、既存組織にとらわれない施設間の連携や新たな利用方法につきまして模索していきたいと考えております。
     以上でございます。
  • 教育次長
     お答えいたします。
     交流館の建設につきましての意義ということだと思いますので、3つの観点から交流館の建設の意義について説明させていただきます。
     1点目は、複合施設の役割、2点目は、新たな施設の建設、3点目は、運営方法の工夫についてでございます。
     最初に、複合施設の役割でございます。
     我が国のみならず本村におきましても、長期的には人口減少・超高齢社会の到来など将来への展望は楽観できない情勢にございます。また、福祉施策の充実や商工観光の振興など課題が山積しているということも承知してございます。しかし、一方では、未来を担う青少年が郷土東海村に誇りを持ち、先人の暮らしの中から現在を学び、そして未来を考えることも大変重要なことでございます。目の前の課題を解決することは非常に大事でございますが、それらを全て解決した後でなければ前に進めないということではないと考えております。
     これまでの青少年育成におきましては、身近な地域資源を活用した体験学習が少なかったとの指摘もありまして、村内の動物や植物などの自然、先人の暮らしなどの歴史や伝統行事を学ぶことで地元への理解や愛着が深まるということは言うまでもありません。それらを学ぶ拠点施設として、青少年ばかりではなく、あらゆる世代の村民が活用するために、郷土の学習と資料保管・展示の複合的な機能を有する交流館は必要であると考えております。
     次に、2点目の新たな施設の建設でございます。
     村内には埴輪や土器、それからさまざまな出土品、古文書などの古いものから、絵画、工芸品、民具など現代のものまで膨大な量の資料がございます。これらの文化財は決して重要文化財や国宝ではございませんが、地域にとっての大切な宝と言えるものでございまして、収集、保管、活用し、次世代に継承していくことは行政の責務であります。特に貴重な資料につきましては適正な管理が必要であり、保存処理なども適切に行わなければなりません。また、法的には公開等による活用も求められておりますので、単なる保管施設ではなく、常時公開する機能を持った専用の施設を整える必要がございます。
     他の施設の利用というご意見もありましたけれども、建設予定地は文教地区内にございまして、周辺の図書館や公民館などの施設とも連携したさまざまな取り組みや施設間の機能の共有化が可能となりますので、他の場所の施設では目的を達成し得ないと考えております。
     続いて、3点目の運営方法の工夫でございます。
     よその歴史資料館の中には十分な利活用が図られていないという例もございます。しかし、交流館につきましては古代から現代までの歴史をたどる施設でありまして、よそのように古いものばかりを展示する施設ではございません。
     先ほどのご意見の中で県のいせきぴあについて、なかなかすばらしい施設じゃないかというふうなご感想を聞かせていただきましたけれども、私どもといたしましては、あのように古いものばかりをただ展示する施設はいかがなものかというふうに考えてございます。そして、展示中心の資料館ではなくて、村民の興味関心を踏まえまして、ダイナミックで自主的な生涯学習活動を通して地域に開かれた施設として運営してまいります。そこには資料を活用するために、きめ細かなソフトが不可欠でございます。教育委員会では開館準備に当たりまして、資格を有する職員を7月付で学芸員に発令いたしましたので、青少年を支援する活動をしている大人の方々にも、資料館の展示などから青少年活動のヒントを得られるようなプログラムも提供してまいります。
     また、先日、外来植物の除去作業に参加する機会がございましたけれども、自然環境を守る、このような地域活動団体とも連携いたしまして、交流館を拠点とした丸ごと博物館構想により、幅広い学びの場として十分に活用してまいりたいと存じます。
     ボランティアの方々によって、ある程度経費を削減というような意見もございますが、そればかりではなくて地域で活動している方々のその活動を応援していきたいというような意味もございます。
     以上のことから、教育委員会では量的拡大ではなく、質的な拡充を図るために交流館を生涯学習の拠点として整備するものでございます。
     以上でございます。
 2問目に移る前に、少し感想を述べさせていただきます。
 目の前の課題を全て解決した後でないと何も取り組めない云々とありましたけれども、私もそのように思います。大事なことは先に進まなければいけないというところですね。ただ、その過程に置きかえて考えたときに、先ほどから異常気象の話もしましたけれども、限られた財源の中、お財布ですね、その中で切り盛りしていくには優先順位があるでしょうということを申し上げたところです。
 それと、県施設のようなものではなくというお答えをいただきましたけれども、ではなおさら、あの施設、立派な学校でしたので、たくさんお部屋ありますので、ああいう施設を隣接する市町村が活用することで、あそこの施設がさらに活気づく、有効な利用につながるのではないか、各市町村でそれぞれに持つのではなくて、使える施設を使っていくということも考え方の一つかなというふうに答弁伺いながら考えました。
 これまで幾度となく生涯学習課の担当職員さんとは話し合いを持ってきましたが、1年半くらい前からすると、お答えいただく内容が変わってきたと感じます。量的な拡大でなく、質的な拡大を狙いとしていくことは、基本的にはよい方向だと思いますが、まだ住民のコンセンサスを得られるほどにはなっていません。生産年齢人口、2030年頃から減少するというデータも出ています。限られた財源の中で今後福祉、医療費等が年々増加することを考えると、箱物の維持が村の財政を圧迫することがいずれやってくるのではないかと危惧いたします。施設整備にかける投資的経費はできるだけ縮小していく縮充、または賢く縮むスマートシュリンクがこれからの行政経営と考えます。
 2問目に移ります。
 高どまりの落札率に疑問という点から質問いたします。
 村内の企業が工事や物品調達等を受注することで行政が支出した資金、つまり税金が村内で循環することにより、地域の活性化と地元企業の育成といった地域経済の好循環が生まれることは大いに期待するところです。しかし、地元業者のみ、または狭い範囲で発注が行われるとき、入札で事前の話し合いが行われやすい状況が生じやすくなることは、これまでのニュース等から想像できます。
 8月3日の新聞に「舗装8社、受注工事半数で落札率9割強、事前に話し合いか」とありました。東海村の状況を調べてみますと6月議会において提出された工事関係の8件の議案は、照明改修工事落札率72%を除く7件が97から98%の落札率でした。資料2のほうに見やすくまとめていただきました。ありがとうございます。
 あくまで一般論ですが、全国市民オンブズマン連絡協議会の調査では、工事の落札率が95%以上を「談合の疑いが極めて強い」、90から95%を「談合の疑いがある」とされています。国交省関東地方整備局が出している落札率、工事にもABCD級とありますが、C級を見ました。それを調べてみますと、ほとんどが90%あたりにあり、95%を超えての落札は、調べた範囲では10件に1件程度かそれ以下でした。99%のものを悪いと言っているわけではありません。
 今回の97から98%という高どまりの落札率に疑問を感じましたので3点質問いたします。
 1点は、村の入札にはどのようなものが該当するのか、契約事務について伺います。
 2点目は、予定価格の事前公表はなぜ行うのか。
 3点目は、落札率が世間一般の評価から見て高どまりとなっていることに対する村の見解を伺います。
  • 総務部長
     お答えいたします。
     初めに、本村の契約事務につきましては、まず工事に関する契約事務で設計金額が130万円未満の場合には担当課で契約を行うことになりますが、130万円以上になりますと総務課が担当する入札案件となります。また、設計金額が3,000万円未満の場合には指名競争入札となり、3,000万円以上の場合には一般競争入札となっております。
     工事以外の物品等契約事務に関しましては、賃借と使用料が予算額40万円以上、委託業務と消耗品購入、それに修繕と役務費が予算額50万円以上、備品購入が予算額80万以上のものが総務課が担当する指名競争入札となっております。
     次に、予定価格の事前公表につきましては、本村での工事の入札については透明性や客観性を高めることを目的に、東海村財務規則第122条に基づきまして、指名競争入札と一般競争入札は予定価格を事前公表しているところでございます。
     なお、予定価格の設定に当たりましては、公的機関が採用している最新の積算基準を適用してございます。
     次に、高どまりの落札率への見解でございますが、議員ご指摘の6月議会における工事関係7件の議案につきましては、全て一般競争入札で行い、予定価格を事前に公表しており、村外業者も入札に参加できる入札公告内容となってございます。また、入札参加者が開札までわからないとされる電子入札システムを運用して、電子入札により実施したところでございます。
     このことから入札は適正に執行されていると考えておりますことから、落札については問題ないと認識しております。
     なお、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律等に反する状況になった場合には、適切に対応してまいります。
     今後も関連法令に基づきまして、透明性の確保、公正な競争及び不正の排除を図るとともに、村内業者の育成も鑑みながら引き続き適正な契約事務を行ってまいりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
     以上でございます。
 入札と落札は長年の社会問題であり、非常にデリケートな問題ですが、模範的な回答をいただいたと思います。しかし、東海村が行っている電子入札はどの自治体でも取り組んでいます。業者との信頼関係は必要ですが、厳しい目を持つことは行政側の責任でもあります。
 ある県の包括外部監査人は、2,000件を超える工事契約のうち落札率が95%を超えたものが66%あったことで、これは極めて競争原理が有効に働いていない状況がうかがえるとする監査報告をしたそうです。また、その中で落札率が数%下がることで請負金額が年間数十億円削減できると指摘しています。東海村で考えますと6月議会に報告された工事の総額は10億円弱、例えば落札率が五、六%下がれば約5,000万円前後削減ということになります。
 今回の質問は一般論としての見方であり、ややもすると建設業界に対してとても失礼なことを言っていることになります。とはいえ、行政は法令順守を常に啓発し、競争性の確保に努めなければならない立場にあります。そして、冒頭にも申し上げましたが、地元企業育成の必要性を私も十分理解しています。災害時にすぐに力になってもらえるのは、やはり地元業者です。とはいえ、公正な競争の上でこそ健全な成長・育成が望めるもの、東海村の事業者それぞれに高い技術力と誇りを持っていただきたいです。そのことはTPPに批准となった場合、今のルールでは地方公共団体の工事には適用されないとなっているようですが、ルールの変更は十分に考えられることです。その場合でも対応できるような技術力を高めておく、その必要性を感じましたので、エールを送るつもりで質問といたしました。
 3問目の質問に移ります。
 めじろシール廃止の経緯と新たな農業支援策についてお尋ねいたします。
 生産者の顔が見える、または生産地域が目に浮かぶことは、消費者にとって心豊かな食生活につながります。また、安全で新鮮な農作物を安心して購入できることは、産地ならではのメリットであります。いつのころからかファーマーズマーケットだけでなく、身近なスーパーにも村内生産者のコーナーができ、名前のついた野菜が並んでいます。先日も知り合いの名前を見つけたので、購入しました。
 村では地産地消推進の一環として東海村安心安全奨励事業、めじろシール事業と言ったほうがわかりやすいでしょうか。この事業を平成22年度から取り組んできましたが、この事業は平成26年度で廃止になったと聞いています。
 消費者の立場からは、生産者の取り組み状況の見える化で安全の目安になると思ったのですが、なぜ廃止になったのでしょうか。また、その後、消費者が一目でわかるような安全安心をアピールする政策は行われていないようですが、新たな取り組みの計画はないのでしょうか、お伺いいたします。
  • 農政部長
     お答えいたします。
     とうかい安全安心農産物認証事業は本村独自の農産物認証制度として平成22年度から取り組んでまいりました。事業内容は、通常の栽培方法に比べ農薬や化学肥料を節減した農産物について、生産履歴の記帳を義務づけ、残留農薬検査を実施した上で農薬と化学肥料の使用量に応じて、メジロの数が変わる認証シールを交付するものでございます。
     事業を開始して6年がたち、この間に残留農薬の事故もなく、生産履歴の記帳が農業者に定着したことなど、安全安心な農産物栽培に関する意識の向上について一定の成果が認められ、所期の目的を達成したことから廃止としたところでございます。
     なお、現在の東海村農業振興計画に位置づけた環境保全型農業への取り組みについては、平成19年度に村独自で創設した環境に優しい農産物栽培奨励補助事業を中心に推進しておりまして、環境に配慮した栽培を実践する農業者に対し特別栽培にすることで負担が増える手間等に対する助成を行っております。具体的には10アール当たり4万円、1作物につき20万円を上限として最長5年間までを実施しているところでございます。
     また、めじろシールにかわる新たな取り組みとしまして、今年度から東海村地産地消推進事業を創設し、村が認める農産物に貼付できる「東海育ち」シールを作成することとしました。このシールは安全安心のPRと販売促進を目的とするもので、今後、農業者の意見を聞きながら、貼付の要件やデザイン等を検討して地産地消を推進してまいります。
     以上でございます。
 説明ありがとうございます。安全安心な農産物の栽培について農家の意識が向上していることは、すばらしいことと思います。消費者の一人として、やはり地元東海村の生産者を選ぶ傾向にありますので、東海育ちシールの貼付は一目瞭然、地元農産物のPRに有効と考えます。ぜひ推進していただきたいです。
 しかし、以前のめじろシールでは、減農薬等の取り組み内容によって、メジロ1羽、2羽、3羽の等級がありました。現在も有機栽培や減農薬栽培など環境に配慮した栽培をする方がいらっしゃいます。そして、こだわりの農業にこれからチャレンジしたいとお考えの方もいると思います。
 そこで提案ですが、今回のシールについても、ただ貼るだけでなく、金銀銅、オリンピックイヤーでしたので、金銀銅、記憶に鮮明だと思いますけれども、その金銀銅のように誰でもわかるようなシールで等級づけを行うことで、環境に優しい農産物の取り組みの見える化ができますが、いかがお考えでしょうか。
  • 農政部長
     お答えいたします。
     環境に優しい農産物栽培の取り組みを推進していくために、議員ご提案の手法も含めまして、今後、消費者に向けたPR手法を農業者の意見を聞きながら検討してまいります。
     以上でございます。
 質問ではありませんけれども、農業者の意見を聞きながら、農業者に寄り添った形で、しっかりした政策を考えていただきたいと思います。農業については素人の我が家でも、庭の片隅で育てているミニトマトやピーマンを時々収獲しています。その太陽のありがたさ、雨のありがたさを感じながら、トレーサビリティーがしっかりしていますので安心して作物を食べています。
 消費者の立場から意見を言わせていただきますと、こだわりの農産物にもっと光を当ててもいいのではないのでしょうか。いろいろなこだわりがあるということは、それだけご苦労もある。だから助成をしている。確かにそれも一つでしょうが、もっと東海村農業のブランド力を上げる戦略的な取り組みが必要と考えます。これまでに原子力事故による実害、風評被害を受けてきた農家の方々、それでも踏ん張って農地を守ってこられた方々のおかげで、新鮮でおいしい農作物を食べることができています。今後の議員活動において、消費者の立場から農業問題にも力を入れていきたいと考えています。
 これで質問を終わります。