えりいつ だいすき東海村 クローバー通信

恵利いつの村議会報告

平成29年3月議会質問内容

 情報公開に基づく村民を交えた討論の場がこれからのまちづくりには必要ではないかという視点から、原子力問題を取り上げて質問いたします。
 福島県の調べによりますと、今なお8万人を超える方々が避難生活を送られているということです。ふるさとが奪われたまま6年も経過したのです。私は震災後の議会で、東海村に住む私たちは原発から卒業するにせよ、再稼働を容認するにせよ、覚悟を持った選択をしなくてはいけないと言いました。覚悟を持った選択というその気持ちは今も変わりません。
 しかし、村内において原子力問題はデリケートな話題であり、抵抗なく遠慮なく話せるという雰囲気ではなく、オープンに語りにくいという壁があります。それは、原子力施設があることによってもたらされた豊かな財源、そこに集まるさまざまな人々というすばらしい恩恵を受け、これまで60年発展してきた東海村なればこそのジレンマでしょう。日本原電からの恩恵も大きいです。
 とはいえ、東海第二原発は1978年の運転開始から39年目となりました。私は原子力問題についてオープンな討論、議論の場の必要性を何度か訴えてきました。村もその必要性を認識して、ファシリテーターの養成講座を開催するなど準備は行ったと思います。しかし、いまだにそのような意見交換の場はつくられていません。間もなく大きな動きが予想される原発問題について、村民がもっと率直に意見を言える雰囲気づくりが今求められているのではないかと考えます。
 そこで、1回目の質問です。
 参加者の誰もが意見を言える雰囲気をつくりながら議論を深める手法として、ファシリテーター養成講座を村は平成26年度に開催しましたが、受講生の活躍の状況はいかがでしょうか、お尋ねします。
  • 村民生活部長
     それでは、お答えいたします。
     村の養成講座を受けましたファシリテーターの活用状況についてでございますけれども、村では平成26年度に協働のまちづくり、ファシリテーター養成研修を約20名の参加により開催いたしまして、意見の出やすい楽しい会議の環境づくりや進め方などの基礎を学んでいただきましたが、村としましてファシリテーターを会議運営などの事業を委託、活用等は今のところはしておりません。
     なお、平成27年8月に、この研修に参加した有志によりまして東海村の明るいまちづくりや青少年健全育成及び協働のまちづくりファシリテーターの育成に寄与することを目的といたしました東海村協働のまちづくりファシリテーターズを設立いたしまして、現在研さんを重ねているというふうに伺っているところでございます。
     以上でございます。
 かなりの予算をかけて講座を開き、ファシリテーターを養成したのに、村で受講生を活用できていない現状であるということは少し残念です。受講生の中には、ほかの町から要請を受けて活動されている方もいるようです。多くの村民や村職員は、ファシリテーションによる話し合いをまだ知らないでしょうから、受講生のスキルを生かし、村民のきずなづくりに活用したほうがよいと考えます。とりわけ原発再稼働問題のような住民意見を二分するような課題に対応するためには、村が行う一方的な説明会だけでなく、住民と行政、住民と住民の間の対立をつくり出さないような手法で話し合いの場をつくることがとても大切です。その一つの手法として、ファシリテーターを活用した意見交換の場は有効ではないかと思います。
 1つの例を挙げたいと思います。昨年の夏頃、農業集落座談会について、なかなかおもしろい、活気があるという噂を聞いていました。何がおもしろいのか1度参加してみたいと思ったくらいです。実際に参加はしていませんが、その進行にファシリテーションを取り入れていたことをつい数日前に知りました。担当職員や参加した議員からも感想を伺いましたが、よかったと評価されています。
 9月30日付で発行されました平成28年度東海村農業集落座談会報告書を改めてじっくり見ました。参加者誰もが意思表示をしていること、また情報をみんなで共有し、問題を鮮明にし、参加者それぞれが問題意識を持って取り組み、対峙関係にならないように合意形成をしようとしていることがわかりました。266名に及ぶ参加者からのアンケートによりますと、約90%の方が「よかった」「とてもよかった」と答えています。これは農業問題ですが、これからのまちづくりは、課題によっては十分な情報公開、さらには情報の積極的な提供のもとに、住民を交えた討論を経て村の方向を決めることが求められるのではないかと考えます。住民自らが東海村の未来の選択にかかわっていく、それが住民自治というものではないでしょうか。
 質問は、間もなく判断を迫られるであろう東海第二原発問題について、住民の意向をどのようにくみ取ろうと考えているのか伺います。
  • 村民生活部長
     お答えいたします。
     議員がおっしゃられましたように、ファシリテーターによる意見の交換の場というのも手法の一つであるとは思います。ただ、原子力の問題に関しましては、以前に村長も「反対や賛成の意見を持つ方で議論の場を設けて」と申していたところではございますけれども、こうした議論を冷静に実施することも非常に難しいのではないかと考えております。まずは村民の負託を受けて活動しております議員の皆様の意見を伺うことをはじめ、意見聴取について、これからさまざまな方法を考えていかなければならないと思っているところでございます。
     以上でございます。
 悩ましい問題ということはわかります。
 村長にお尋ねしたいんですけれども、原発問題のように村の将来に大きくかかわる問題、そして住民を分断しかねない問題だからこそ、一部の人間で決定することではないと私は考えます。村長は5日の広域避難計画案の説明会で、原発再稼働の是非を問う住民投票について実施しないとの考えを明らかにされました。とても重大な発言であり、私は残念に思います。
 村長はご自身の責任の放棄になると、また住民に判断を投げかけることへ疑問を持つとのお考えのようですが、果たしてそうでしょうか。最も民意が反映されるのが住民投票ではありませんか。どの段階が適切かという課題はありますが、行政が住民に対して十分な情報を提供した上で、ここで言う情報提供とは、これまでのような一方的な提供にならない工夫をしっかりした上で、その上で民意を問う、そのために村民を交えた討論の場が必要と言っているのです。
 手前みそですが、今私は仲間に後押しされて「カフェで語ろう原子力」という活動をしています。なかなか難しい場面もありますが、中立の場の提供になるように心がけています。しかし、本当の中立という点からいくと、行政がやるべきです。悩ましいテーマだからと手をこまねいていて、本当の仕事ができていると言えるのでしょうか。村長のお考えを伺います。
 もう1点、東海第二原発再稼働是非の住民投票に対するお考えを改めて伺います。
  • 村長
     住民投票に関する私の考えですが、3月5日の策定状況の説明会でも確かに私は住民投票はまだ考えていませんという話はしました。住民投票そのものにつきましては、これは自治基本条例の中でもできることになっています。住民のそういう意見、請求があればできることになっていますので、制度的に別にそれは閉ざされたものではないというふうに思っていますが、私のほうから自らそれをやりますと言って宣言するものでもないというふうに思っていますので、本当に住民の皆様方がそれがいいとなれば、それは請求権が発生するような署名が集まり、できなくはないと思いますが、そういう住民の方々の意向とは別に、執行部の責任者として、それをあらかじめ住民に問いかけるというのは順番が違うのかなという感じはしています。
     やはり自治基本条例の中でも別にそれは対象項目は特に定めていませんが、やっぱり合併とか、多分そういう本当に村民の生活そのもの、行政サービスがどうなるかわからないと。多分そういうものは非常に住民投票に合っているんだと思うんですね。この原子力問題につきましては、そこまでの本当のテーマなのかというところが、そこは住民の方々の受けとめ方だと思いますので、そういう機会はきちんと担保されていると思いますので、そういう動きがあれば、それはそれで見たいと思いますけれども、この原子力問題についてファシリテーションの話も別にできなくはないと思いますが、結局ファシリテーションでやっているテーマって、まちづくりだとか農業をどうするかというこれから何かをつくり上げていくというか、そういうテーマだと非常に意見が出しやすいんです。
     原子力問題というと、どちらかといえばディベートなんで、賛成反対というところでお互い論破するようなところのイメージがどうしても強くて、やっぱりまちづくりと結びつけないとなかなか意見が出てこないのかなというところがあって、問題にやっぱりちょっと難しさが、ほかのテーマとはちょっと異質だなという感じはしていますので、そうはいっても、確かに手をこまねいているわけにいかないので、それをどういう形でやるのがいいのか、結構行政がやると住民対行政になっちゃうんです、どうしても。だから、そこでもう第三者的なところが本当はいいのかなと思いますが、なかなかそこも難しいのはわかっていますので、そこはちょっと私も今悩んでいますが、何とかそういう議論の場はつくりたいと思っていますので、もう少しお時間いただければと思います。
     以上です。
 ありがとうございます。そうですね、議論の場、本当に難しいところではありますけれども、私はだからこそファシリテーターかなと思うところで、この辺は今後、研究していっていただいて、いい形をつくっていただきたいと思います。
 それで、私の考えとか、もうちょっと述べさせていただきます。
 福島第一原発事故による放射性物質が漂う中、避難した方々のことや、6年が経過した今も8万人が故郷に戻れないで避難生活を送っている現状を考えると、原発問題の判断の重さは明々白々、合併と同じくらいの重さがあると思うんですね。この東海第二原発の30キロ圏内には96万人の方がいます。山田村長は東海村の村長ですが、この判断は村民に対する責任だけにはとどまりません。そのことを考えると、まずは東海村において住民投票を行うべきと私は考えています。それは先ほどもおっしゃった自治基本条例にのっとった住民からの請求ということになるかもしれません。声なき声を含め、最も民意を反映するのが住民投票と私は考えます。
 次の質問に移ります。
 サイクル研究所内の廃棄物の管理問題について伺います。
 昨年12月5日付の朝日新聞に、サイクル研究所内の高放射性固体廃棄物貯蔵庫において、中身のよくわからない廃棄物入りのドラム缶約800個がプール内に乱雑に積み上がっている「ずさんな廃棄物の管理」と表現された記事がありました。私は、六、七年前に起きたグローブボックス内の火災事故のとき、サイクル研の関係者から聞いた言葉が脳裏によみがえりました。それは、もっと問題のものがほかにもたくさんあるということです。当時、議会質問で取り上げましたが、このような状況はわかりませんでした。
 記事にも「中身がよくわからない廃棄物の容器が多数ある」と書かれています。やみくもに怖がるのでなく、正しく怖がることが必要と思いますが、中身がわからないということでは話になりません。機構関係者からは取り出しを考慮していなかった。また、規制委員会の担当者からは、とても適切とは言えない状況が続いている。原子力機構だけでなく旧科学技術庁も旧原子力安全・保安院も見て見ぬふりをしてきたとあります。国策として進められてきた原子力政策の根底にある問題を象徴したようなコメントです。
 質問は4点です。
 1点、「ずさんな管理」と表現された状況を村は認識していたのか、それとも知らなかったのか伺います。
 2点目は、現状をどのように把握しているのか。
 3点目、12月の報道を受けて村はどのような対応をとったのか。
 4点目、今後どのように対応しようとしているのか伺います。
  • 村民生活部長
     高放射性固体廃棄物貯蔵庫(ハス)は、再処理施設の分離精製工場や分析所から発生いたします使用済みフィルター等の高放射性固体廃棄物を貯蔵する施設でございます。新聞記事では「ずさんな廃棄物の管理」と表現されましたが、当施設は廃棄物の貯蔵を目的とした施設といたしまして、昭和46年に国の認可を受け、昭和55年に使用前検査に合格しているものでございまして、廃棄物の貯蔵に当たりましては、ハル貯蔵庫の液位、セル内の温度、プール水分析による非腐食性の確認などを継続的に行っているものと認識しているところでございます。
     現在は再処理施設の廃止措置に伴いまして、高放射性固体廃棄物の取り出しを行う装置の開発を行っているところでございます。廃棄物を保管するための新たな施設の設置を行いながら、平成30年代後半には廃棄物取り出しに着手する予定であると聞いているところでございます。
     村では、報道を受けてというわけではございませんが、従来から東海再処理施設全体の廃止に向けた工程について核燃料サイクル工学研究所からヒアリング等を行っております。その中で、当該施設の廃止に向けた高放射性固体廃棄物の取り出し及び保管の実施についても説明を受けているところではございますが、新たな装置を使用しての作業となるとのことですので、教育、点検整備を徹底し、安全を最優先に進めていくよう強く求めてまいります。
     以上でございます。
 昭和55年に使用前検査に合格しているものであり、このような施設であることを村は認識していたということはわかりました。当時の検査に合格した施設とはいえ、放射性物質を扱うには余りにも雑です。これまで私たちは「知らぬが仏」だったのでしょう。今後の処理に不安が募ります。
 新聞報道は12月でしたが、今月に入り、6日「ANNニュース」に、7日には「報道ステーション」で全国に向け、テレビで取り上げられ、それを見た住民の方や遠い方からも心配の声が数件寄せられました。
 「報道ステーション」の中で、規制委員会に呼ばれた原子力機構の児玉敏雄理事長は次のように語っていました。「廃棄物処理を楽観視はしておりません。しかし、何が起きるかわからないところであります」と。「何が起きるかわからない」と言われました。また、環境保全部、小坂哲生部長は「取り出しの考慮がされていないということで、後々コストがかかる」と。そして、原子力規制委員会の田中俊一委員長は「これだけリスクの大きい廃棄物をきちっと処理できない組織は原子力事業をやる資格がない」と大変厳しく言われました。
 廃棄物を処理するには長い年月がかかります。加えて多額の税金が必要です。まして、核のごみの最終処分場は決まっていない。これらのことを考えると、行政や住民が問題意識を持っていることを常に発信していかないと、ずるずるといつの間にか東海村が核のごみ捨て場、墓場になりかねません。今回の報道で見えたことは住民にとって大変重大な長期的問題です。村民の生活を第一に考えなければならない職責にある村民生活部長は、どのようにお考えでしょうか。
  • 村民生活部長
     お答えいたします。
     村では、先般の新聞やテレビの報道に関しまして、核燃料サイクル工学研究所から取材時の対応についての説明を受けておりまして、報道があることは承知しておりました。また、核燃料サイクル工学研究所といたしましては、報道で使用された画像や事業の解説をホームページで公開しているところでございまして、対外的な情報提供という面では、今のところ適切に行われているものと認識しているところでございますので、ご確認いただければと存じます。
     なお、先ほどの答弁と重複いたしますが、村としては当該施設及び事業内容に関して日ごろから必要な報告を受けているほか、原子力安全協定による立入調査や原子力災害対策特別措置法による立入検査を行うなど施設の状況把握に努めてきたところでございますので、今後も適切に情報収集を行い、安全面での徹底した監視に取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
     以上でございます。
 今現在、この施設において問題が発生しているわけではありません。しかし、このような難題を抱えた施設があることが今回明らかになったのです。原子力村は原発の再稼働を急ぐのに、なぜこのような根本のところを後回しにするのでしょう。
 今回のテレビ報道の後、商売をしている住民の方から嘆きの声が寄せられました。現状において問題はなくても、こういう報道があると取引先から問い合わせがあり、そのようなことが重なると次第に取引がなくなる。死活問題ですというものです。同じ様な話を農家の方などから聞いたことがあります。家業を安定させ、大きくしようと一生懸命に働いている住民が、原子力の問題が起きるたびに大きなダメージを受けています。このような風評被害でお困りの住民に対して、村は何ができるのでしょうか。改めて伺います。
  • 村民生活部長
     原子力に関しますさまざまな風評被害への対応ということで、ご回答でよろしいのかと思うんですけれども、我々としましては、情報提供というのは事業者にはきちっとしていただいて、また規制委員会にもしっかりとした審査をしていただくということが重要かと思っております。村といたしましては、そういう状況を常に監視していくと。また、事業者に対して安全な事業展開を促していくということが非常に我々は重要なことかと思っております。
     以上でございます。
 ちょっと通告していたものを1つ飛ばしてしまいました。もう再々質問までいきましたので聞くことはできませんが、阿部議員もこの点について聞いておりますので、そちらにお任せしたいと思います。
 今の部長の答弁ですけれども、まさに村民の生活に寄り添う部でありますので、しっかりとお願いいたします。
 それで、ガラス固化について質問したかったのですけれども、このガラス固化については一言、質問ではなくて、ちょっと聞いたところをお話しさせていただきます。
 約400立方ある高レベル放射性廃液、ガラス固化への処理が安全にスムーズに進められることを望んでの質問だったのですけれども、聞くところによると、今回のトラブルの発見には、ふだんと違うわずかな音に敏感に気づいた作業員の方の働きがあったと伺いました。そして、それを小さなこととせずに、現場でしっかりと対応した結果、もっと大きなトラブルへの発展が食いとめられたということです。トラブルが繰り返されることは決してよいことではありませんが、とめることを恐れずに最優先で対応したチームは評価すべきです。そして、今後の安定した運転のために、あの「もんじゅ」を教訓とし、施設の保全にしっかりと取り組み、ガラス固化作業が順調に行われることを望みます。
 3問目に入ります。
 地方公務員の減少と非正規職員の増加に伴う問題点と、公務員のあり方について伺います。
 基礎的自治体職員である村職員の仕事は地味ではありますが、村民生活に密着した大変重要な仕事であります。近年は核家族が進み、本村においては転入者が多くあり、加えて少子高齢化などなどライフスタイルの変化に伴い、多様化する住民ニーズ、それに応えていくには責任ある立場のマンパワーが必要と考えます。
 しかし、正規の職員と非正規の職員のバランスにおいて非正規の方に頼る部分が多くなっているのではないかと考え、資料を請求しました。見やすくまとめていただき、ありがとうございます。
 1点目の質問は、グラフからも非正規職員の割合が大きくなっていますが、正規職員は増えずになぜ非正規職員が多くなっているのか伺います。一般論として責任ある仕事は正規職員というイメージがありますが、いかがでしょうか。
 2点目は、ゼネラリスト(総合職)とスペシャリスト(専門職)の育成についてです。このことについては、これまでに議会でも取り上げてきました。今どのような取り組みをしているのか伺います。
  • 総務部長
     お答えいたします。
     初めに、非正規職員が増えている理由と正規職員の採用につきましては、現在職務上で専門知識や資格が必要な部署には技術系職員や有資格者を配置しておりますが、住民ニーズの多様化や行政の高度化に伴いまして、あらゆる分野に幅広く対応していかなければなりませんので、状況に応じ非常勤職員として専門職員を配置しているところでございます。また、育児休業等の代替や一時的な業務に対応するために臨時的にも職員を配置しているところでございます。
     特に本村におきましては、教育や福祉などの分野で特色ある村独自の業務の提供や原子力に関する体制整備のためなどに多くの非常勤職員や臨時職員を配置しておりますので、限られた正職員を補う意味からも、さまざまな要素が重なり合う中、非正規職員の配置が増加傾向にならざるを得ない状況にあることをご理解願います。
     次に、職員に対してゼネラリスト、スペシャリストを育成することの必要性につきましては、村では職員として行政全般について幅広い知識を身につけるために、採用から10年程度の若年層の職員には一定の周期で早期の異動を行いまして、組織内のさまざまな職種を経験する機会を付与し、概ね入庁から10年以上20年未満の中堅層の職員には、組織の中核を担う重要な立場として、これまでの業務経験や意欲等を重視した配置がえを行っております。
     また、課長補佐級、係長級の職員につきましては、管理職の退職による行政機能の低下を招くことのないよう、将来の人事配置を視野に入れながら配置換えを行っております。
     一方で、行政需要も高度化、複雑化し、専門性も要求されますので、課題に迅速かつ的確に対応するためには、幅広い職務経験や知識を持つゼネラリストだけでなく、組織の中核としてじっくりと腰を据える必要がある部署には、あと一定の分野においては、専門知識を備え、多くの経験と高い知識や技術を持った職員を配置することが必要になってくる場合もございます。このことから、専門知識を必要とする部署におきましては、職員の能力や適性を見きわめながらスペシャリストを養成しまして、ある程度長く職員が在籍することにより、業務水準の維持向上につながるような人事配置にも心がけております。
     このような考えのもと、最終的には職務の適性や専門性並びに各部課からの意見等を踏まえまして、総合的に配置がえを行うことにより、業務の継続性を確保しながら、個々の職員や組織全体の能力の向上並びに人材の育成に努めているところでございます。
     以上でございます。
 正規職員の数はほとんど変わってないように見受けられますが、時代の流れとして再任用職員の方が増えています。この方々は経験は豊かですが、勤務体系が違う方もいます。現職の負担、責任が過度にならないような取り組みを望みます。
 また、スペシャリストの養成ですが、しっかりとした取り組みがされている様子を伺い、ある程度安心いたしました。しかし、住民からは、どんな人事をしているのだ、村や関係部署との信頼関係が失われる等のお話をいただくこともあります。いろいろな事情があるのでしょうが、信頼関係、人間関係を損なわないような人事異動が、円滑な事業を進める上でも協働のまちづくりの視点からも必要と感じています。
 来年度の事業計画でスクラップ・アンド・ビルドを進めると示されましたが、スクラップよりもビルドのほうが多かったです。これでは抱える事業数は増えるばかりで、職員は疲弊してしまいます。事業廃止は非常にやりにくいことでしょうが、職員が疲弊して住民との信頼関係が損なわれては本末転倒です。働き方の見直しも進められているようですが、改善が進むことを願います。
 質問は、コミセンへのOB再任用職員の配置についてその目的を改めて伺います。また、現状をどのように捉えていますか、お尋ねいたします。
  • 総務部長
     お答えいたします。
     コミセンへの再任用職員の配置並びにその目的と現状につきましては、災害時の基幹避難所となっておりますコミュニティセンターには以前は正職員が配置されていなかったために、避難所の運営は地区自治会長が行い、施設管理は非常勤のセンター長が行うといった体制になっておりました。しかしながら、村としまして責任を持って施設を管理運営するためには、正職員の配置が必要だと判断いたしまして、平成27年度からセンター長に正職員として再任用職員を配置しているところでございます。
     これに伴いまして、実際の災害時に速やかに避難所が開設されるとともに、避難所と災害対策本部の連携も密接に行うことができものと考えております。
     一方、まちづくり協議会制への移行協議におきましても、村職員であるセンター長が現場において地域の相談に乗ることで円滑な協議を進めることができるとともに、行政経験豊かな再任用職員の庁内人的ネットワークを活用しまして、さまざまな分野において行政と地域との橋渡しができるものと感じております。
     以上でございます。
 現状認識としては、行政と地域の橋渡しができていると感じているとのことですが、地域住民の中には現状以上に地域活動に対する支援を求めている声も聞かれます。せっかく行政経験豊かな再任用職員が配置されているのだから、これまでよりさらに踏み込み、住民と同じ目線で地域の活動に積極的に関与し、地域を元気にするような取り組みにまでかかわっていくことが望まれているかと思いますが、いかがでしょうか。
  • 総務部長
     お答えいたします。
     現時点におきましても、センター長はコミュニティセンターの施設管理運営のほか地区自治会の事務局として地区全体の活動に対する支援を行うなど、地域活動の活性化を図っております。今後も引き続き行政職員の知識と経験を地域に還元するとともに、住民の皆さんとともに考え、汗をかき、地域活動をより一層後押しできるよう努めてまいります。
     以上でございます。
 ボランティアで活動している地域住民をサポートし、裏方に回り、本当にともに汗をかくことで住民から頼られ、信頼関係がつくられると思います。これは前議員の照沼さんの持論でもあります。
 4問目に移ります。
 公共施設等総合管理計画を踏まえて歴史と未来の交流館建設問題をどう考えるかについて、光風会代表の江田議員の質問に引き続き質問させていただきます。
 これまでに担当者とも、時には村長とも、そして議場においても建設に対する住民の声を届け、そして議員としての私の考えを述べてまいりました。もう自分でも十分伝えたと思いますが、しつこいですが、ここは踏ん張りどころと考えて質問いたします。
 なぜ踏ん張りどころかといいますと、今回の予算に7,400万円の実施計画費が計上されています。これまでの基本計画、基本設計に既に2,500万円がつぎ込まれました。2,500万円にさらに7,400万円、合わせておよそ1億円の村税を投入するには、村民の賛同、合意は得られていないと強く思うからです。これまでの学校建設などと違って、今回の交流館建設について住民から「なぜつくるの」「誰が欲しがっているの」「維持管理費がかかるでしょう」「ほかの建物を活用すればいいのでは」「どんな人が使うの」「これから先の時代に新しい箱物は要らないのでは」「もっと他のことに税金を使って」などなど本当に多くの声、疑問の声が寄せられています。学校をつくるときの方法ではだめなのです。
 先日、アイヴィルにおいて住民に示された公共施設等総合管理計画をじっくりと見た住民の方からも、ごもっともと思える将来を見据えたご意見をいただいています。単純に今の計画に賛同か反対かを色分けすれば、私に聞こえる9割の住民の声は反対です。今、住民有志により、静かに署名活動が始まっていますが、そこでも多くの方が反対と言われるそうです。これらの住民の声をどのように捉えるか伺います。
  • 教育次長
     お答えいたします。
     住民の皆様からの声ということでございます。私どものほうでは12月に実施計画を取りまとめまして、その後、建物の基本設計に入りました。それで基本設計を進めていく上で、さまざまな具体の姿が見えてまいりましたので、広報とうかいなどにもそれを示させていただきました。また、幾つか説明会なども開かせていただきましたけれども、今後これから皆様に具体の案を示しながら、ご理解いただきたいというふうに考えております。ちなみに、直近では4月9日日曜日にアイヴィルにおきまして10時から説明会を開催させていただきたいと思います。皆様のご意見等を十分に理解した上で進めていきたいと思っております。
     以上でございます。
 建設を望まれている方の中にも、しっかりとした信念をお持ちの方もいらっしゃいます。うなずけるところも多々ありますし、否定するものではありません。しかし、そのような方も建設の規模については賛否いろいろです。また、中には村の財政が右肩上がりの感覚のまま、あればいいですねという、あれもこれも欲しいといった感覚から抜け出せない住民もいます。
 これからの行政運営には経営的視点が必要と言われていますが、今回の建設計画は、せっかくもらった交付金を使わなければならないという結論ありきから村も抜け出せないでいるように見えます。少子高齢化による人口減少、社会保障費の増加、利用需要の変化、そして東海村にも迫ってきた歳入の縮減、そのような状況をカバーするためにボランティアに依存しようとする甘く見える運営方針、これはまだまだ甘く見える運営方針、また建設の目的が少しずつ変化する建設理念、住民にはそのあたりが透けて見えているのではないでしょうか。住民へこれまで以上に丁寧な説明を行い、意見交換をすることが必要です。
 先ほど答弁にありました4月9日に開催される説明会では、公共施設等総合管理計画と抱き合わせで住民に説明するべきと考えます。今回の管理計画に入っていない新たな建物ですので、その分、新たに管理していかなければいけないということになります。その点についていかがでしょうか。
  • 教育次長
     お答えいたします。
     公共施設等総合管理計画は、長期的視点に立って村内の公共施設の長期間にわたる維持管理をしていくための指針でございます。この対象施設は平成27年度末現在の施設でございますので、交流館につきましては今後5年ごとに見直しをされる計画の中で入ってくるかと思います。
     教育委員会といたしましては、所管している施設についての改修や更新の考え方につきまして、人口構成の変化などを捉えまして、費用対効果を十分に検証して対応してまいりたいと思っております。一例を挙げますと、老朽化した小中学校のプールにつきましては、児童生徒の利便性を損なわないということを前提といたしまして、29年度は東海南中のプールを、30年度は村松小学校のプールを建てかえをせずに廃止することといたしました。これはまさしく今ある東海スイミングプラザを賢く使うということで費用の節減につながったものと考えてございます。
     教育委員会といたしましては、所管する施設整備や更新の必要性につきましては、総合管理計画のもとで、その時点その時点での情勢を見きわめまして、適切な方策を講ずる所存でございます。あわせて所管施設につきましても、光熱水費などのランニングコスト節減に引き続き努めてまいりたいと思っております。
     以上でございます。
 いろいろ工夫されていることはわかります。とはいえ、新しい建物ですので、本当に光風会としてはしっかり考えていただきたい。住民の方々の合意ができてないというところに、非常にこのまま進めていいのかなという大きな疑問があるところです。
 3月10日号の広報とうかいには、10ページには4月9日の住民説明会、そして13ページには「アイヴィルの多目的ホールやその他の部屋をご利用ください」という案内がありました。今ある建物をまずは使いこなしましょう。新しくつくるより「今ある建物を賢く使う」の精神で取り組んでいただきたい、しっかり考えていただきたいと思います。そして、何より子どもの居場所、歴史と未来の交流館ということで、子どもの居場所としてですが、まずは小学校単位で考え、調整することが先と考えます。質問を終わります。