◆みすずの会、恵利いつです。
緑地の乱開発を抑制しつつ再生可能エネルギー普及拡大を進める村となるための条例づくりについて、まず質問させていただきます。
今回の質問は、10メガワットのソーラーパネル設置事業計画を知ったことがきっかけではありますが、4年前にも同じ質問をし、そのとき前向きな答弁をいただいたことに安心していた自分への反省も込めて質問いたします。
皆様ご存じのように今や再生可能エネルギーは世界の趨勢となっていますが、私も再生可能エネルギーの普及に賛成の立場です。問題にしていることは、樹木を伐採し、自然破壊を伴うパネル設置のやり方に規制をかけなければ、村に残っている貴重な緑地は守れないだろうという点です。私が議員を目指した大きな理由が東海村の自然緑地を守りたいというものでした。ですから、自然環境を守るために汗を流し、政策を訴える活動は、住民としても議員としても力を注いできたと自負しております。今回は東海村の危機的状況との思いでここに立っていますので、後ほど村長のお考えも伺います。よろしくお願いいたします。
では、質問に入ります。地図をお願いいたします。
須和間、村松地区内に、16ヘクタールに及ぶ広大な面積をソーラーパネルで覆ってしまう計画が進められています。シールでちょっと色をつけた紙をつけておりますので、ご確認いただけると思います。東海村の全体の航空写真ですが、まとまった山林はほんのわずか、約7%です。その中で今回の16ヘクタールがどれだけ大きく貴重であるか、おわかりいただけると思います。
予定地に隣接する自治会の住民には、事業者によって3回の説明が開かれましたが、地域外の多くの住民はまだ知らないでしょう。私は3回の説明会全てに参加し、住民の声を聞き、会場の雰囲気を見てきました。計画を進めている事業者は、住民の質問や要望に真摯に対応されていたと思います。住民からは「緑がなくなることは残念だ」「計画があることを全く知らなかった」「住環境が変わる。貴重な森は残すべきだ」「パネルの処理は保証できるのか」「反対運動をやろうか」「森を買い戻せないか」などの声が上がっています。ちょうど予定地に隣接したところで、十四、五年前からボランティア里山の会で仲間とともに下草刈りなどを続けてきたこともあり、私たちボランティアのショックも大きいです。
私は平成27年6月議会で、乱開発業者から東海村の貴重な緑地を守るために太陽光発電システム設置に関する村独自のルールづくりをすべきであると提案しました。答弁は前向きなものでしたが、今回のことを見ると、後戻りできない状況まで計画が進んでから住民は知らされる。つまり、4年前と何も変わっていない。
そこで質問です。
1点目は、平成27年6月議会からこれまでに、どのような検討、取り組みをしてきたのか。
2点は、12メガワットのソーラーパネルを設置する今回の事業に、村としてどのような対応をしてきたのか。
3点目は、緑地を守る政策として、どのようなことをしているのか。
以上1回目の質問といたします。
建設部長 ご質問1点目、2点目につきまして建設部よりお答えいたします。
まず、1点目のこれまでの取り組みにつきましては、先にお答えいたしましたが、茨城県において太陽光発電施設の適正な設置・管理に関するガイドラインを平成28年10月に制定いたしました。村におきましても、茨城県のガイドラインに基づく手続等に関する東海村における留意事項を同月に定めました。現在は事業者に対しましてガイドライン及び留意事項にのっとった指導をしているところでございます。
続いて、2点目につきましてお答えいたします。
今回のメガソーラーの敷地面積は約16ヘクタールと村内ではこれまでにない規模の計画となっておりますので、全庁体制で情報共有を図っております。
また、今回のケースは県の林地開発許可及び村農業委員会の農地転用許可が必要であり、林地開発許可に当たっては、所管課である農業政策課が関係各課から聴取した意見を取りまとめて県に提出しております。さらに、ガイドラインにおける取り扱いに則して提出された事業概要書に対し、地区説明会出席者のご意見、ご質問や村関係各課からの意見等を踏まえ、村の意見として事業者に通知するとともに、それらの意見に対して真摯な対応をとるよう事業者に指導しているところでございます。
村民生活部長 3点目の緑地を守る政策についてお答えいたします。
現在行っております緑地を守る政策といたしましては、豊かな自然環境を形成している地区を村民の森、地域の良好な景観を形成し、風致を維持している樹木、樹林、水辺緑地を保存樹林等として指定を行い、その土地の所有者へ維持管理の謝礼といたしまして報奨金を支給する事業を実施しております。
なお、承諾が得られない事業者もいることから、引き続き交渉等を行い、指定面積の拡大に努めてまいりたいと考えております。
◆事業者による説明会より前に、私は今回の計画があることを知りました。そのとき私は、村でルールをつくっているはずだから簡単に計画は進まないだろうと村行政に期待していました。しかし、県の条例しかない現実に憤りと焦りを覚えました。今回、事業者は村の指導もあり、丁寧な説明会を開いているとは思います。しかし、多くの住民の思いは、説明を受けるということではなく、森や環境を守りたい、壊されたくないということが一番にあります。
林地開発許可や農地転用許可が8月30日に出たとのことです。ここまで進むと、事業者も簡単には引き下がれてないことでしょう。このような状況になる前に、もっと前に村の森を守る手だてはなかったのか、本当に歯がゆい思いです。
再質問は、村長に3つの視点からお尋ねします。
1点目は、ルールづくりについてです。土地所有者と民間事業者、民民の契約ですから、行政が口を挟みにくいということはわかります。しかし、東海村の貴重な緑地や環境を守るためには、住民に説明をしてくださいというような生やさしいものより、東海村で無神経な開発がしにくくなるような条例なのかガイドラインなのか留意事項なのか、どのようなものであれ、簡単に村の緑地に手が出せないことをしっかり盛り込んだルールをつくるべきと考えますが、村長のお考えをお聞かせください。1点目の質問です。
2点目です。農業と太陽光発電を同じ土地、農地ですね、ハイブリッドに使うソーラーシェアリングという取り組みがあります。成功例が幾つかネットに載っていました。農家は、農業から得られる収入と発電から得られる収入でダブルの収入になると紹介されていました。耕作放棄地の活用につながるかもしれません。農家が収入アップすれば、村の税収も期待できます。しかし、今回の会社は、本社は県外にありますので、法人税は茨城県にも東海村にも入りません。農業との共存でしたら、メガソーラーのような大規模な施設であっても、森林破壊、樹木の伐採はありません。先にも言いましたが、私は再生可能エネルギーの普及は進めるべきと考えています。
そこで提案です。ソーラーシェアリングのようなハイブリッドな設置に誘導するためにも、樹木伐採を伴うパネル設置に対して法定外目的税を設ける。このことへのお考えを伺います。これは税収増を目的とするより、森林伐採を抑制するためという意味合いが私の中では強いです。いかがお考えでしょうか。
3点目です。今回の事業者がなぜこれだけ広い面積を買収または地上権を取得できたかというと、人から人の縁で東海村につながり、村内においても山林地主から地主へと広がり、49筆の面積を手に入れることができたとのことでした。このような動きを把握することは難しいのでしょうか。そうであるなら、今後も起こり得ます。村の基金をもとに平地林の買収を進めるお考えはありませんか。
以上3点、村長のお考えを伺います。
村長 お答えします。
まず、1点目のルールづくりですけれども、村の緑地として守っていくというご意見ですが、午前にも議員のほうから質問にありましたが、山林についても農地にしても個人の所有、個人の財産ですね。村の緑地とは言いますけれども、基本的には個人の財産ということになりますので、そこのやっぱり権利のところは非常に大きなところでありますので、そこをどうにかしなければならないというところで考えると、その土地の動きのところを確認するには、先ほど部長のほうの答弁もありましたが、村民の森に指定をすることで、それがあっても動きがわかるということはありますが、そこが今、限界でありまして、さらに新たにルールをつくって村の緑地として守っていくというのは、なかなか個人の財産のところをどこまでルールづくりができるかというのは、ちょっと今難しい課題だなというふうに思っていますので、今すぐそれができるというふうには私は考えておりません。
2点目の農業と太陽光、ソーラーシェアリング等が理想だということですが、これも農地の所有者のお考えで、確かに耕作放棄地対策ということもありますが、そもそも農地をもう利用しないということで今回も農地転用で売ってしまいたいということなんで、そうなってくると、もうそもそもの考え方がちょっと違いますので、そういうところは所有者のお考えが第一になるのかなと。
無尽蔵にといいますか、勝手にそういう部分が処分されないように、そういうことを抑制する目的で法定外目的税ということですが、ここもそもそもが個人個人の土地に対するというか、緑地を持っていくとか、農地を守っていくと、多分そういうところの意識づけがない中で、いきなり税金をかけて、そこを誘導するというのは、手法としてはちょっと極端かなというところでありますので、まずは今、村がやっている村民の森の指定ですとか、あと3番目にご質問のあった基金をもとに買い取りというのは、実際保全配慮地区、ここは今も指定しています。ただ、これは一応買い取りについては自治会ですとか環境団体で一定程度、維持管理活動をしているということがあって、そういうものを緑化審議会で諮った上で決めていくということがありますので、その手法を使って、保全配慮地区にできるんであれば、最終的に買い取りというものを現行の制度のままで可能だというふうに思います。
あと村民の森も今、斜面緑地が中心になっていますので、もし平地林もやっていくというのであれば、これも緑化審議会のほうに諮った上で、今までは斜面緑地だったけれども、今度は村内の有用な平地林もそういうふうに指定していくというのはあり得ると思いますので、現行の制度の中でもある程度は対応できるというふうに思いますが、この太陽光発電事業そのものを規制するというのは、なかなかこれが難しいということで、県もガイドラインまでということで、村もガイドラインにまたのっとった留意事項ということで、ここが今現在の法整備の中では限界かなというところでは感じております。
◆なかなか厳しい状況というのは理解するところです。法定外目的税もちょっとむちゃぶりなのかなというところも思いますけれども、何とか守りたいという思いで言わせていただきました。平地林に対する村の危機感をようやく感じ取ることが今の村長の答弁からできました。
今回のことで思い出したのですが、15年くらい前にたぶん日立電鉄からだったと思うんですけれども、東海村の自然林を村が購入したことがあります。購入後、数年は荒れた森のままでした。9年くらい前から自然の緑を守る会としてボランティアで整備を続け、今は押延いこいの森と看板をつけるほどになりました。当時の購入目的は緑地を守るであったと、当時の担当者に今回確認いたしました。
ボランティア仲間と里山整備をしていたら、近くに住んでいる方から次のようなお話を伺いました。昨年11月の夜に生き物たちの命を懸けた大移動があり、そのざわざわとした異様な音、鳥や動物の声のような音で、その方は目が覚めたということでした。その日は、歴史と未来の交流館建設に向けて樹木の伐採が始まった日とのことです。この面積は、交流館建設敷地の約20倍もあります。村民は貴重な森をなくし、ここに住んでいる動物や鳥、生き物は住みかをなくします。
第5次総合計画に「今と未来を生きる全ての命あるもののために」とうたってあり、「緑地の保全と緑化を進めます」と明記されていますが、現実は残念な状況です。これまで以上に積極的に守っていく姿勢で取り組まないと、村内の自然林が消えてしまいます。緑地保全は第6次総合計画にも、しっかり反映すべきと考えます。
この点について村長にお尋ねしようと思ったのですが、村長も緑を残したいというお気持ち十分持っていらっしゃると伺っております。ですから、当然しっかり盛り込まれると期待して、次の質問に移ります。
◆2問目に入ります。
多様な子育てを選択できる支援のあり方について質問いたします。
私自身が核家族で子育てをした経験から、「安心して子育てできる支援体制はしっかりと整えるべき」という考えが基本にあります。議員になって訴え続けてきた病児・病後児保育施設も安心の子育て支援の一つです。ですから、先の臨時議会で出された新たな保育施設に関する議案に対して、是非の判断は非常に悩ましいところがありました。
担当課において、保育ニーズにどうしたら応えられるか、タイトなスケジュールの中で検討されたことは理解をしました。しかし、さまざまな家庭の状況、いろいろな考えの保護者がいる。もっと多様な子育て支援があるのではないかという点に疑問が残りましたので、そのまま賛成するわけにはいきませんでした。そして、臨時議会後もその点を考え、今回の質問になりました。
質問の1点は、新たに計画している保育施設の今後の進め方について伺います。
2点目です。昔から子どもは家族の宝でした。そして、少子化が加速している現在、子どもは地域の宝であり、国の宝です。育児とは、社会全体の宝である子どもを守り育てる責任ある立派な仕事です。それは家庭であっても保育施設であっても、違いはないと考えます。
現状、保育施設の補助には多くの税金がかけられていますが、在宅で子どもを育てている家庭への保育の補助といいますか、支援はありません。保育施設に預けている家庭と在宅で子どもを育てている家庭では、公平な支援になっていないのではないでしょうか。幼児教育・保育の無償化を機に、在宅育児手当制度の導入について検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
3点目は、一定の資格を持った方、家庭保育員というようですが、その家庭保育員が家庭的な環境で、ゼロから2歳の子どもを預かる家庭的保育事業、保育ママ制度の村内における現状と今後の取り組みについて。
以上3点伺います。
福祉部長 お答えいたします。
1点目の新保育所の今後の進め方についてでございますが、指名競争入札を経て今月末に建物の賃借契約を締結した後に、年末から工事に着手いたします。建物工事の完了は令和2年3月末を予定しておりますが、その間に保育士の採用や配置等の検討を進めるとともに、4月からの約1か月間で子どもたちの受け入れ体制を整え、5月からの開所を予定してございます。
2点目の在宅育児手当制度の導入についてでございますが、保育施設に預けずに家で育児をする家庭に手当を支給するこの制度は、在宅育児家庭と保育施設利用家庭に対して公平に税金を使うという考え方に基づき、家庭の経済的負担の軽減や少子化対策を目的としてフィンランドなどの北欧諸国のほか、国内では鳥取県などで導入されている制度でございます。また、保育ニーズが抑制されることで、ゼロ歳から2歳児までの待機児童の減少が期待できるとも言われておりますが、その一方で手当の支給を目的にあえて子どもを保育施設に入所させない悪質なケースの発生や就学前の子どもの様子が社会から見えにくくなってしまうことへの懸念、女性の就労を妨げることにつながるのではないといった声も取り沙汰されております。
子育て世代の家庭にはそれぞれの考え方があり、その上で自分たちが行いたい育児のあり方やライフスタイルを自らが選択されていることを考えますと、大切なことは手当を支給することではなく、家族や周囲で支え合いながら子育て世代を孤立させないよう社会全体でサポートすることだと思っております。
3点目の保育ママ制度の現状と今後の取り組みについてでございますが、保育ママは、両親の就労等により家庭での保育が困難であり、かつ保育所に入所できない3歳未満の子どもを保育者の居宅などで保育を行う者の通称で、子ども・子育て支援法では家庭的保育事業と呼ばれているものでございます。
現在、保育者の居宅ではなく、保育を必要とする子どもの居宅で保育を行う「居宅訪問型保育事業」の事業者につきましては2カ所設置されているものの、家庭的保育事業につきましては未設置となっております。
県では、待機児童対策や保育基盤の維持につながるとして実施を積極的に推進しており、今後、広報とうかいでも事業者向けセミナーや家庭的保育者になるための研修の実施などを案内していく予定となってございます。
◆今、答弁にありました就学前の子どもの様子が社会から見えにくくなってしまうとか、女性の就業を妨げることになるのではないかというところあたりの懸念というのは、制度のあり方とかによって、私はそれほど問題にならないのではないかという思いがあります。
それで、再質問させていただきます。
保育所の整備に大変な経費を要することが、今回の新たな保育施設建設で改めてわかりました。そこで確認のために伺います。新たな保育施設の維持管理費を児童1人当たりに換算した場合、どの程度になりますか。
2点目です。今、保育士不足は全国的な問題です。新たな保育所の建設で建物は用意できても、保育士17名の確保は今後の大きな課題と思います。東海村では今年度も保育士の待遇改善を行いましたが、さらなる改善を図ることで潜在的保育士の掘り起こしにつながることを願います。
一方で、近隣自治体の保育士窮乏化政策になるのではないかと心痛めるところもあります。
さて、働く保護者にとって保育ニーズは待ったなしです。村が募集する保育士17名が集まらない可能性もあります。そこで、次善の策として保育ママ制度の充実を図っておくべきと考えます。また、保育ママ制度は家庭的な雰囲気を提供できる点からも、あえて希望される保護者がいることも考えられます。導入政策をすぐにでも進めておくべきと考えますが、いかがでしょうか。
再質問の3点目は、在宅育児手当制度の導入についてです。子どもを家庭で育てることも社会に出て働くことも、どちらも立派な仕事です。ですから、多様な支援で子どもの育て方を選べる環境を用意することが社会全体でサポートすることと私は考えます。行政として待機児童解消に努めることは言うまでもありません。しかし、例えば10月の無償化を機に、200人の入所希望者がいたとき、十分な保育施設を用意することは、すぐには無理でしょう。自宅で子育てする人がいるから、ぎりぎりというか、どうにかそれなりに保育ニーズに対応できるのだと思います。
ここで、数年前にあるご婦人から尋ねられた経験を話します。それは娘さんが勤めに出たいが、保育所で預かってもらえない。だから、おばあさん、ご本人がパートをやめて世話をしているとのことでした。そして、そのときの質問は、「なぜ役場の職員のお子さんはいつも入所できるの」というものでした。私の答えに、この方が納得してくださったかどうかはわかりませんが、最後に一言私がつけ加えたのは、「娘さんはおばあちゃんがそばにいるから助かっていますね」と労をねぎらう言葉でした。家族や周りの人からの感謝の言葉かけは大切でありますが、在宅育児を立派な仕事と捉えると在宅育児手当を検討すべきと考えます。
以上3点伺います。
福祉部長 お答えいたします。
1点目の新保育施設の維持管理費につきましては、既存の公立保育所の決算額から試算したあくまで概算でございますが、建物賃借料が約4,500万円、維持管理費が約3,000万円のほか、職員人件費が約5,100万円、これは17名の保育士全員を臨時保育士と仮定したものですが、合計いたしますと1億2,600万円となります。これを定員93人で割り返した児童1人当たりの年間維持管理費は約135万円となります。
2点目、3点目につきましては、一括してお答えさせていただきます。子育てには、いろいろな選択肢があるとは思いますが、繰り返しの答弁になりますが、大切なことは多種多様なライフスタイルに対応できるよう、子育てに不安を抱える母親たちへの支援体制を充実させるとともに、あらゆる保育サービスを整備しながら社会全体でサポートすることだと思っております。その意味では、認可定員は少ないものの、家庭的保育事業、保育ママ制度ですね、こちらは有効な取り組みの一つではありますが、在宅育児手当制度の導入につきましては、児童福祉法の趣旨から見れば、在宅育児を誘導することで保育ニーズの調整につなげるようにすることよりも、待機児童を早期に解消することに最優先で取り組むべきと考えております。
◆在宅育児手当の導入を、女性を家庭に縛るとか、子育ては女性の仕事として押しつける、そうは思っていらっしゃらないでしょうけれども、そんなふうに捉えているのでしたら、それは違います。それぞれの家庭が自分たちで行いたい育児のあり方を選べる権利を、平等な補助により保障する政策を提案しているのです。
再々質問は村長にお尋ねします。
在宅育児手当についてです。答弁にもありましたが、鳥取では県全体で取り組んでいます。児童1人当たり月3万円程度の支給です。類似するものも含め、他の基礎的自治体でも取り組んでいる例があります。
先ほど児童1人当たりの東海村における年間維持費は約135万円ということでした。一定の条件はありますが、10月から保育料は無償になります。保育所に預けている家庭には、ゼロ歳から5歳児を平均すると1人当たり年間約135万円、月にすると約11万円が税金で補助されていることになります。しかし、在宅で見ている家庭には補助がありません。保育支援の格差が生じていると考えます。子育て支援に対する平等、公平な補助という視点をどのように考えるか、在宅育児手当制度の導入について村長のお考えを伺います。
村長 お答えします。
この在宅育児手当制度については、私は全く考えておりません。今も議員と部長のやり取りを聞いていたんですが、補助制度を設けて公平にして選択肢を与えるというお話ですが、私はちょっとその意味するところがよく理解できていないところがありまして、まず今、女性の方々が在家庭で子どもを見ると、あと働きたいという思いがあって、自分のライフスタイルで、それはいろいろな家庭の事情もあるでしょうけれども、働きたいと。働くためにはやっぱり保育所に預けたいという思いがあると。それが育児手当制度があるんで働かないで手当てもらって、うちにいて子育てしたいというところが、働きたいという選択肢と手当もらって自宅で子ども育てるというのは、何かそれがそういうことで平等とか何かそういうふうになるというのは、私はちょっと理解はできないところでありまして、今はどうしても待機児童がこれだけ増えて入所待ちも80人ということは、やっぱり子ども預けて働きたいというところのニーズが今一番高いんで、私は待機児童の解消が最優先の課題だというふうに思っていますので、きのう大名議員の質問にも答えましたが、無償化の問題もいろいろありますが、まずは待機児童の解消、しかもゼロから2歳のところが一番待機児童、入所待ちが多いんで、そこを解決するのが最優先だというふうに思っていますので、現時点で在宅育児手当制度を導入することは全く考えておりません。
◆ここがなかなかかみ合わないところなんですけれども、家庭で育てている人のそれも仕事と見てもいいんではないかなというところが私にはあるんですね。その辺がかみ合わないところかなと思います。先ほどから言っていますけれども、子育ては立派な仕事ということで、ちょっと視点を変えますけれども、育児休暇をとることのできる立場と育児休暇のない人では格差が生じていると思います。これは質問ではありませんね、もう再々質問まで来ましたから。意見を述べさせていただきます。
子どもを保育園に預けて働いている大企業の正社員や公務員の家庭は、公的な育児支援という点では恵まれていると思います。それは、育児休暇が保証されているからです。例えば公務員のママを例にしてみます。産前産後休暇と育児休暇があります。産休ですね。産前は8週間、産後8週間あり、お給料は全額支給。その後は育児休暇が1年間、育児休暇中は育児休暇手当としてお給料の約6割程度が共済組合から支給される。1歳で保育園に入所できなければ、さらに育児休暇が延長される。そして、仕事の復帰も保障されています。
一方、育児休暇が取得できない状況の人、例えば非正規雇用や小さな企業勤務、自営業の方、専業主婦も含まれますね。それで、非正規やアルバイトの人を想像してください。産休に入るころには仕事をやめざるを得ないケースがほとんどです。産後の休暇や育児休暇はないので収入がなく、経済的に不安な中で子育てをすることもあるでしょう。職場復帰したくとも条件が難しい。仕事に復帰できないと保育園に入ることができない。だから、先ほどのご婦人のように祖母や祖父が支援をすることになる。その方たちは仕事をやめてでも支援することになる。
今回この質問に当たり、いろいろな年齢、職業の方に意見を聞きました。ほとんどの方が反対される方はいなかったです。特に女性からは力強く支持されたと感じます。今はなかなかかみ合わないところもありますけれども、ぜひ前向きに、もう一度ご検討いただきたいと思います。
これで私の質問を終わります。